マナカナの大阪WORKERS(10)「バナナケーキ」
「マナカナの大阪WORKERS」の最終話です。橋目真理子さん脚本の「バナナケーキ」です。
放送日は、2011年9月1日でした。
登場人物(敬称略)
- とうま: 趙 珉和(ちょう たみやす)
- 高校までは、天才・秀才と呼ばれていたが、結局3流大学にしか入れず、引きこもりとなった。
- ラジオのDJ: 渋谷 天外(しぶや てんがい)
- 大阪のFMラジオ局の番組「FM9」のDJ。地球最後の日に、いるかもしれないリスナーのために、スタッフと共に放送を最後の続けている。
- みゆり: 三倉 佳奈(みくら かな)
- 自分の店を持つパティシエ。
あらすじ
西暦2050年のある日。地球に直径2kmの隕石が落下しようとしています。ほとんどの人々は、シェルターに避難しています。外に残っているのは、ほんのわずかな人々のみです。
みゆりは、怖いながらも、シェルターの外で、自分の好きなパティシエの仕事を続けています。働いて、働いて、やっと手に入れた自分の店です。
オーブンで、最後の「バナナケーキ」を焼いています。ラジオFM9からは、生放送が続けられています。
そこへ、とうまがやって来ます。とうまとは、子どもの頃は一緒に遊んでいましたが、とうまが引きこもりになってからは、会っていなかったのです。
とうまは、シェルターにみゆりが居なかったので、みゆりの店に探しに来たのです。
シェルターにみゆりを連れて行こうとしますが、みゆりは断ります。シェルターの中に居ても、外に居ても、助からないと。どちらでも助からないなら、最期まで店にいたいと。
その理由は、みゆりはパティシエとしてしか生きられないと思っているからです。
突然とうまは笑い出します。とうまは、自分が引きこもってしまった恨みを、とうまの周りで、自分のやりたい事を見つけて生きている人達にぶつけていたのでした。
ぶつける先の一人がみゆりで、みゆりが惨めに最期を迎える様子を見届けたかったのでした。
とうまは、やりたい事を見つけて必死に働いていても、何もせずに引きこもっていても、結局最期はみんな同じだと、勝ち誇りました。
みゆりは、そんな言葉を聞いて、自分は自己満足で働いていただけだったのかと、落ち込みます。
そんな時、ラジオDJの言葉に気がつきました。最期の瞬間まで放送を続けますと。最期の最期まで。
ラジオDJととうまの言葉で、みゆりは、落ち着きを取り戻します。この店が、自分の居る場所だと。本当の自分のやりたい事を見つけました。
とうまは、自分の負けを認めざるを得ませんでした。
とうまは、みゆりの店の最後の客になる事に決めました。みゆりの一番のお勧めの「バナナケーキ」を注文します。でも、焼き上がるのと、隕石が落下するのと、ちょうど同じくらいです。残り、1分です。
オーブンが「チーン」となり、みゆりととうまはは、「できた!」と一言。それが、最後の言葉になりました。
感想
地球最後の日。私だったら、いったい何をするかな〜。
みゆりやFM9のDJの様に、最後まで自分の選んだ仕事を続けているだろうか?
私の場合だったら、その瞬間に、今と同じ仕事を続けていると言う事は無いでしょう。
家族と一緒に、シェルターの中で身を寄せ合って震え上がっている可能性が高いと思います。
それか、ものすごくお金持ちになっていたら、地球脱出組に入っていたいな。
地球にしか居られないのだったら、どこか温暖で景色の良い所に居たいなぁ。
みゆりが、自分の人生を掛けてまで打ち込める仕事を見つけられたのは幸せです。
とうまは、高校までずっと勉強ばかりして来て、挫折を知らずに育って来たのでしょうね。それが、大学受験失敗と言う、大きな挫折をしてしまいます。その結果、引きこもりになってしまった訳ですが、最期の瞬間に人間らしい心を取り戻しました。
とうまは、生きる事を諦めていた訳ですが、頑張って仕事に打ち込む事を決めたみゆりの姿に、やり残した事に気がついたと。
ラジオって、良いですね。こんな最期の瞬間にまで、人に勇気を与える事ができます。
さだまさしさんは、中学・高校と、一人暮らしをしていました。そんな彼を救ったのが、ラジオの深夜放送だったのです。夜中に、たった一人で寂しい思いをしている時、深夜放送を聞くと、自分と一緒に起きていてくれる人が居ると、勇気づけられたそうです。
その経験が、「セイヤング」のDJをやっていたり、「今夜は生でさだまさし」を続ける原動力になっているのですね。
オーブンの焼き上がる「チーン」の音の後、無音になる演出が良いですね。その後に起きる事は、容易に想像できますから、変な効果音が無い方が、想像が膨らみます。
小惑星の衝突に付いて、調べてみました。2014年に衝突する可能性があると言われていた小惑星があったのですね。直径1.4kmで、地球全域に甚大な被害があると予想されていました。
そうなると、やはり直径2kmの小惑星が落下すると、地表の生物は絶滅ですね。
それにしても、分単位、もしかすると秒単位で、小惑星衝突時刻を予測しているとは、科学が進歩していますね。
それだけの科学力があっても、小惑星の地球衝突を回避するための方法が取れなかったのでしょうかね? 多分、打つ手は全部打って、防ぎきれない状況になってしまったのでしょうね。
νガンダムが開発されていれば、小惑星の落下を防げたのでは? って、機動戦士ガンダム「逆襲のシャア」ネタでした。
アフタートーク
10本のショートストーリーがあったけれど、どういう感想を持ったかと言う事について話されていました。
茉奈さん: 世の中にはたくさんの仕事があって、みんな色々な悩みを抱えながら頑張っていると感じた。
佳奈さん: 頑張っている人、輝いていてかっこいい。私もそんな人になりたい。
やっぱり、頑張るって大切なのだな。
それと、諦めないこと。
応援ソング
茉奈 佳奈「夢の画用紙」
[amazonjs asin="B004GN9ARG" locale="JP"]【シリーズ記事】
- マナカナの大阪WORKERS(1)「たこ焼きたガール」: プラスα空間 (2011年3月8日)
- マナカナの大阪WORKERS(2)「お局様」: プラスα空間 (2011年3月9日)
- マナカナの大阪WORKERS(3)「ニセモノ」: プラスα空間 (2011年3月10日)
- マナカナの大阪WORKERS(4)「アシスタント魂」 : プラスα空間 (2011年3月11日)
- マナカナの大阪WORKERS(5)「ラストドライブ」 : プラスα空間 (2012年12月17日)
- マナカナの大阪WORKERS(6)「さくらそう」 : プラスα空間 (2012年12月18日)
- マナカナの大阪WORKERS(7)「商売の神様」[追記あり] : プラスα空間 (2012年12月19日)
- マナカナの大阪WORKERS(8)「マフラーの彼」 : プラスα空間 (2012年12月20日)
- マナカナの大阪WORKERS(9)「おがくず」 : プラスα空間 (2012年12月21日)
- マナカナの大阪WORKERS(10)「バナナケーキ」: プラスα空間 (2012年12月22日)
昨年の、「マナカナの大阪LOVERS」は、次の記事をご覧下さい。
- マナカナの大阪LOVERS(1)「恋のキューピッド」[追記あり]: プラスα空間 (2010年03月02日)
- マナカナの大阪LOVERS(2)「天の川さくら色」: プラスα空間 (2010年03月03日)
- マナカナの大阪LOVERS(3)「君を探し続けて」: プラスα空間 (2010年03月04日)
- マナカナの大阪LOVERS(4)「婚活実習」[追記あり]: プラスα空間 (2010年03月05日)
- マナカナの大阪LOVERS(5)「たこ焼き焼けた」: プラスα空間 (2010年03月06日)
- マナカナの大阪LOVERS(6)「大阪LOVE ROAD」: プラスα空間 (2010年03月09日)
- マナカナの大阪LOVERS(7)「鈴虫が鳴く庭で」: プラスα空間 (2010年03月10日)
- マナカナの大阪LOVERS(8)「そして二人残った…」: プラスα空間 (2010年03月11日)
- マナカナの大阪LOVERS(9)「夏の迷子」: プラスα空間 (2010年03月12日)
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