マナカナの大阪WORKERS(9)「おがくず」

2012年12月23日マナカナ,日記・コラム・つぶやき

「マナカナの大阪WORKERS」も、残り2話となってしまいました。

「マナカナの大阪WORKERS」の第9話は、森本宇一郎さん脚本の「おがくず」でした。

放送日は、2011年9月1日でした。

登場人物(敬称略)

お父ちゃん(橘): 渋谷 天外(しぶや てんがい)
橘木工所の所長兼職人。高校の頃から、演出家になる事を夢見ていた。雪子の妊娠を機に、故郷の大阪に帰る。
橘 航平(こうへい): 趙 珉和(ちょう たみやす)
橘家長男。亜希の弟。橘木工所の社員。職人見習い中。
橘 雪子(ゆきこ): 魏 涼子(ぎ りょうこ)
橘の妻。心臓が弱く、すでに亡くなっている。舞台女優だったが、妊娠を機に引退。
橘 亜希(あき): 三倉 茉奈(みくら まな)
橘家長女。航平の姉。女優志望。オーディションに受かって、東京に出て行く事になった。

名前の漢字は、私の感覚による当て字です。今回は、姓名判断もしてみました。それなりに良い画数だと思います。

あらすじ

橘木工所の長女、亜紀。オーディションに合格し、東京に出て行く事になりました。もっとも、急病になった役者の代役ですが。

亜希は、高校の時に女優賞をとり、雪子に褒められました。それが嬉しくて、女優の道を選んだのです。

亜希が出て行く事に対して、お父ちゃんは悲観的です。どうせ大した役でも覚悟ではないだろうと。

そんなお父ちゃんに、亜希は反発します。どうせ、演劇の事なんてわからないだろうし、そんな古い考えだから、雪子もおがくずに埋もれて、夢を果たせずに早死にしてしまったんだと。

一瞬、カッとなるお父ちゃんでしたが、二人を仏壇の前に呼び出し、古いアルバムを見せます。
そのアルバムには、雑誌の切り抜きが貼ってありました。それは、若き日の雪子でした。別の写真には、舞台袖に若き日のお父ちゃん(橘)がいました。

母である雪子は女優志望で、橘は演出家志望だったのです。

そこそこ売れ出した頃、1カ月公演の勝負に出ます。チケット販売も開始していました。

そんな時、雪子の妊娠がわかりました。心臓の弱い雪子が、身重の状態で公演をするのは無理だとわかりきっていました。

深く考えた後、橘は、雪子が赤ちゃんを産む事を選択します。体の弱い雪子の体を考えたら、若い内に産んだ方が良いと判断したのです。

橘の夢は、日本一の演出家になり、芝居で成功する事でした。それよりも、雪子を幸せにする事を選択したのです。舞台の仕事よりも、かけがえの無い雪子を護る事が仕事だと。

その赤ちゃんが、亜希だったのです。

お父ちゃんは、亜希に、女優の厳しさを教えます。ケヤキの板はちょっと磨けば、すぐに売れる。節だらけの板は、磨いた末にやっと売れると。例えるなら、亜希は節だらけの板だと。端役であっても、お金を貰ったらプロ。甘えは通じない。それに負けないだけの強さ、それを跳ね返す意地、それだけの覚悟はあるのかと問いただします。

亜希が家を出発する時間がやって来ました。航平が亜希を大阪駅へ送って行く事になりました。お父ちゃんは、見送りには出てきません。

お父ちゃんは、おがくずの付いた写真立てを航平を通じて、亜希に渡しました。その中には、さっきの雪子の写真が入っていました。亜希は、「弱音を吐かない。お父ちゃんとお母ちゃんが果たせなかった夢を仕事にしてみせる。」とお父ちゃんに伝えて欲しいと、公平に託します。

亜希と航平には、「代役はいない」と航平。

ちょうど、雪が降ってきました。まるで、雪子が送り出してくれているかの様です。

亜希には、雪も大阪の街も見えませんでした。きっと、フロントガラスが曇ったせいです。

感想

最初に聞いた時は、色々疑問が浮かんで来て、納得できませんでした。ですが、何回も聞いている内に、なかなか深い内容だと思いました。

「プロの舞台人なら、避妊するのでは?」と思ったのですが、雪子が、若い内に赤ちゃんを産める様に、わざと避妊しなかったのだと解釈しました。

それほど、お父ちゃんは、雪子の幸せを考えていると言う事なのですね。

雪子の幸せは、子どもを、産み・育てる事の様ですが、心臓病で死んでしまうかもしれないリスクを犯してでも、やり遂げたい事なのですね。

でも、赤ちゃんと演劇の両方を選択すると言う解決手段はなかったのでしょうか? 雪子には代役の女優を立て、演出をそのまま続ける事はできなかったのでしょうか?

演出の仕事は、朝から夜遅くまでなので、雪子の面倒を見る事ができなくなります。その、選択を避けたと言う事なのでしょうね。

ちょうど妊娠がわかった時期ですから、3カ月頃でしょうか? 母体が安定する、5カ月までの間に、公演があるのでしょう。どうしても、雪子を待たせられない期間だったわけです。

お父ちゃんが、「よし、産もう!」と返事をするまで、若干の間があります。最初は、この「間」に気がつかず、お父ちゃんが即決したのだと思いました。この間で、お父ちゃんの考えの深さを表現しているのだと思います。

亜希が、2年遅く産まれてたら、人生が変わっていたかもと言う事を聞いて、亜希はショックを受けなかったのでしょうか? お父ちゃんは、少し、演劇に未練があるようでしたし。亜希は、自分がいらない子と思ったりしなかったのかな。

亜希は、お父ちゃんの琴線に触れる台詞を吐きます。切れかかったお父ちゃんでしたが、ぐっと堪えて、亜希と航平に本当の事を告げます。かっこいいですねえ。

お父ちゃんは、自分の時の事を思い出して、気持ちよく亜希を送り出そうとしたのですね。

タイトルの「おがくず」と言う言葉が出てくるのは、2回だけです。ここぞと言うポイントで。くぅ〜。

新幹線に、乗ると言っているのに、何故、大阪駅なのでしょうね? 新大阪駅じゃないのかな? 大阪駅から新大阪駅までは、車だと5分位、新快速だと4分位だと思います。持って行く荷物の事も考えたら、新大阪駅まで、車で行くと思いますが。

蛇足ですが、曇ったフロントガラスは、亜希のフロントガラス、つまり瞳。泣いていたと。

アフタートーク

ストーリーに沿って、女優と言う仕事についてどう思っているかでした。

佳奈さん: 役者は、誰かの人生を代弁している仕事。たくさんの人の共感を得るために、自分自身の人生経験を深めて行きたい。

なるほどね。生き様を、役者として、表現するのですね。それで、佳奈さんは、その役の人物そのものになり切ろうとしているのですね。

茉奈さん: いつまでも不安。倉本聰さんに、弱点をたくさん見つけられて厳しく指導された。ありがたいです。負けないで、一所懸命、磨いて行きたい。

茉奈さんは、自己確立のための手段として、捉えているのですね。自分に対する不安、私も思いっきり大きいです。自己確立、私も課題としています。

応援ソング

槇原敬之「遠く遠く」

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【シリーズ記事】

  1. マナカナの大阪WORKERS(1)「たこ焼きたガール」: プラスα空間 (2011年3月8日)
  2. マナカナの大阪WORKERS(2)「お局様」: プラスα空間 (2011年3月9日)
  3. マナカナの大阪WORKERS(3)「ニセモノ」: プラスα空間 (2011年3月10日)
  4. マナカナの大阪WORKERS(4)「アシスタント魂」 : プラスα空間 (2011年3月11日)
  5. マナカナの大阪WORKERS(5)「ラストドライブ」 : プラスα空間 (2012年12月17日)
  6. マナカナの大阪WORKERS(6)「さくらそう」 : プラスα空間 (2012年12月18日)
  7. マナカナの大阪WORKERS(7)「商売の神様」[追記あり] : プラスα空間 (2012年12月19日)
  8. マナカナの大阪WORKERS(8)「マフラーの彼」 : プラスα空間 (2012年12月20日)
  9. マナカナの大阪WORKERS(9)「おがくず」: プラスα空間 (2012年12月21日)
  10. マナカナの大阪WORKERS(10)「バナナケーキ」 : プラスα空間 (2012年12月22日)

昨年の、「マナカナの大阪LOVERS」は、次の記事をご覧下さい。

  1. マナカナの大阪LOVERS(1)「恋のキューピッド」[追記あり]: プラスα空間 (2010年03月02日)
  2. マナカナの大阪LOVERS(2)「天の川さくら色」: プラスα空間 (2010年03月03日)
  3. マナカナの大阪LOVERS(3)「君を探し続けて」: プラスα空間 (2010年03月04日)
  4. マナカナの大阪LOVERS(4)「婚活実習」[追記あり]: プラスα空間 (2010年03月05日)
  5. マナカナの大阪LOVERS(5)「たこ焼き焼けた」: プラスα空間 (2010年03月06日)
  6. マナカナの大阪LOVERS(6)「大阪LOVE ROAD」: プラスα空間 (2010年03月09日)
  7. マナカナの大阪LOVERS(7)「鈴虫が鳴く庭で」: プラスα空間 (2010年03月10日)
  8. マナカナの大阪LOVERS(8)「そして二人残った…」: プラスα空間 (2010年03月11日)
  9. マナカナの大阪LOVERS(9)「夏の迷子」: プラスα空間 (2010年03月12日)
  10. マナカナの大阪LOVERS(10)「二人いる」: プラスα空間 (2010年03月13日)

Posted by お市のかた