舞台「有毒少年」ネタバレあり感想
昨年の11月26日に、有毒少年の東京千秋楽がありました。もう、一ヶ月以上経っているのか…。
ネタバレ付きの感想を書いていなかったので、まとめてみたいと思います。
【好きなシーン】
- 有毒少年と無毒少女によるオープニング
- 幽霊/読書家、蝙蝠/有毒少年
- フライマンサーカス団
- 有毒少年がヘブンズパレスに
- スローシークエンス
- 有毒少年と無毒少女の花畑
- 幽霊と読者家、幽霊に名前
簡単に紹介します。(敬称略ですみません)
1. 有毒少年と無毒少女によるオープニング
舞台は、無毒少女(昆夏美)の歌で始まり、有毒少年(木戸邑弥)が舞台に出て来て、二人が舞台セット中央に立ちます。その後ろから、照明が照らし、二人の影が浮かび上がるシーンです。
これから始まる素晴らしい舞台に、ちょうど良いです。
2. 幽霊/読書家、蝙蝠/有毒少年
幽霊(六角慎司)と読書家(三倉茉奈)、蝙蝠(姜暢雄)と有毒少年が、それぞれのペアで会話を続け、ペア同士がぐるぐる回って語るシーンです。
最後に、有毒少年と読書家が「花が見たい」と一緒に言うシーンが何とも言えません。
3. フライマンサーカス団
これが、一番楽しいシーンじゃないでしょうか? 歌とダンスで、観客を引き込みます。
東京千秋楽で、蠅男(竹下宏太郎)が、繰り広げたアドリブが良かったなぁ。
退団ダンスも良かったな〜。この退団ダンスの一部は、第15回マナカナファンの集いで披露されました。
たしか、フライマンサーカス団の紹介のシーンで、役者さん全員が揃うんじゃなかったかな? そのシーンも好きです。
4. 有毒少年がヘブンズパレスに
有毒少年が、地下シェルターから地上に出て来て、ヘブンズパレスの活気ある生活に触れるシーンです。
有毒少年が普通の幸せを手に入れた瞬間でした。
ヘブンズパレスの住人は、それぞれの役者さんが兼ねているのですが、みんな楽しそうで良かったな。こんな街なら住んでみたいかも。
5. スローシークエンス
魔女(シルビア・グラブ)の呪いが解け、ピエロ(伊与勢我無)を筆頭にみんな次々と名前を思い出し、消えて行くシーンです。
音楽のみで、台詞がありません。でも、役者さんは口パクで台詞をしゃべっています。口の動きが読み取れると、より理解が深まります。
このシーンで、ブリキの大公(君沢ユウキ)が有毒少年を撃ちます。その弾に傷つく有毒少年を見たブリキの大公の表情が良かったです。「あぁ、生きている人間が居た! やってしまった〜。」と後悔する感じが非常に良く表現されていました。
それと、何と言っても、蝙蝠が有毒少年に「ありがとう」と言う所です。ここは、台詞がはっきりわかります。「じゃあな、有毒少年。ありがとう。」
伏線として、蝙蝠が有毒少年に「ありがとう」を言わずにはぐらかすシーンがあります。そこからつながるシーンとして、仕上げられています。
6. 有毒少年と無毒少女の花畑
有毒少年がやっとの思い出たどり着いた、黒猫(丸尾丸一郎)の秘密の花園。でも、有毒少年の毒で、花が枯れてしまいました。落胆する有毒少年。有毒少年と無毒少女がキスをし、有毒少年の毒の為に、無毒少女が仮死状態になります。
その無毒少女を見つめて、有毒少年にとって、無毒少女が「花」だったと気づくシーン。
舞台としては、このまま終わっても、形になっていたと思います。
7. 幽霊と読者家、幽霊に名前
でも、すごいのは、それでは終わらなかった事です。最後に残った「幽霊」を読書家が救うシーンです。
読書家は、無毒少女が有毒少年の毒によって抗体を持ち、普通の人間となった姿でした。「読書家」と言う名前は、弾みで口から出ただけの名前です。本当の名前は、サリー。
ヘブンズパレスの人間(魂)は、名前が無いと成仏できません。でも、名前を付けられる前に死んでしまった幽霊は、名前が無い為に成仏できない運命だったのです。
その幽霊に読書家が名前を付けて、幽霊を成仏させると言うアイデア。これには度肝を抜かれました。そういう解決方法があったのかと。
【衣装】
有毒少年は、初演、再演、再々演と進む度に、衣装が洗練されて行きます。
青蛇(水野小論)さんの衣装が、体の線が出ていて、ちょっとセクシー。ウロコが一枚一枚作ってあって、とっても手がかかっているそうです。
【アドリブ/日替わりネタ】
- 蝙蝠の盗品コレクション。「海人のTシャツ」「相田みつをの卓上カレンダー」
- 蝙蝠が「じゃじゃまる、ぴっころ、こうもり〜」。元ネタは、NHK教育の「にこにこぷん」。「じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろり〜」です。ここは日替わりネタなのですが、他の内容は覚えていません。
- 魔女の髪型を見て、時計兎(上田結)が「マリーアントワネットみたい」「ホラ貝みたい」。
- ヘブンズパレス100年祭で有毒少年を誘拐する為、黒猫が制御室の係員をボコボコにします。係員役だった茉奈さんを、黒猫が「茉奈死ね、茉奈死ね」とつぶやきながら殴っていました。
これ他に、蠅男のアドリブです。石帽子(小松利昌)もアドリブがありました。
【感想】
舞台が始まった時は、なんだか滑った様なギャグが連発され、つまらない舞台を観に来てしまったかも…。と思いました。
幽霊/読書家、蝙蝠/有毒少年のシーンから、引き込まれて行ったかな?
でも、設定されている謎が、次々と解き明かされて行くのに従って、もう有毒少年の世界にどっぷりです。
スローシークエンスは、涙無しで観ていられませんでした。
それが終わったと思ったら、有毒少年と無毒少女のシーンでしょ。舞台が暗転して、もうおしまいかな〜と思ったら、読書家と幽霊ですよ。
「私があなたの名付け親になってあげる」「幽霊って、抱きしめる事ができるのね」と、読書家。最大の見せ場です。三倉茉奈さんは、読書家を演じ切りました。素晴らしい。
計算された様に、組み立てられた脚本が良いですね〜。照明も音楽も、効果的に使われていました。
最後に、舞台に舞ったカビの雪。幻想的だったなぁ〜。
記念に、その雪を少しだけ持って帰りました。雪と言っても、発泡スチロールですけれど。
最後に、夜空(西山宏幸)の詩を載せておきます。
月はひとり 夜空に寂しく浮かんでいる
孤独とは月の引力である
ひとりぼっちだからこそ 互いに引き合うのだ(有毒少年より)
次のツイートで、全文がわかりました。ありがとうございます。
あ〜、早く、DVDが届かないかなぁ〜。
私のは単純な感想ですね…。私は、表面しか捕らえられなくて、掘り下げた感想は書けません…。
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