舞台「有毒少年」年表(ネタバレ注意)
11月30日の大阪公演を最後に、舞台「有毒少年」の全公演が終了しました。「有毒少年」の世界に迫るため、レポートをまとめています。
思い切りネタバレしていますので、DVDを観るまでは内容を知りたくないと言う方は、DVDを観た後でこのブログをご覧下さい。
ネタバレシリーズは、次の通り進行しています。
今回は、「有毒少年」の舞台構成を、ヘブンズパレス歴にそってまとめてみたいと思います。
ヘブンズパレス歴は、説明のために私が勝手に付けた物です。舞台設定には出てきません。
ヘブンズパレス歴 | 出来事 |
---|---|
それ以前 | 最終戦争終了 |
0001年 | ヘブンズパレス発足 |
008x年? | 無毒少女(サリー)誕生 |
0085年 | 有毒少年(ジャック)誕生 |
0085年〜009x年 | 有毒少年がネズミくんに育てられる |
009x年? | 怪盗「蝙蝠」が幅を利かせる |
0100年 | 蝙蝠と有毒少年が出会う 蝙蝠が投獄&脱獄 ヘブンズパレス百年祭 魂達が天へ昇る |
0110年 | 読書家(サリー)が旅から帰る 幽霊が天へ昇る サリーは、再び旅へ出かける |
ヘブンズパレス歴以前
最終戦争が起き、人類の大部分が死滅しました。
ヘブンズパレス歴0001年
最終戦争の後、生き残った人々が集まり、ヘブンズパレスができました。
ヘブンズパレス歴008x年
生まれつきの免疫不全で、毒には決して触れられない女の子が産まれました。女の子は、無菌室の中で育てられ、外界の毒から遮断されて生きています。
その女の子は、「サリー」と名付けられました。でも、ヘブンズパレスの住人は、陰でサリーを「無毒少女」と呼んでいます。
舞台の中では、サリーがいつ産まれたか、あるいは年齢は出てこないのですが、「有毒少年」と同世代だとすると、80年代かと。
ヘブンズパレス歴0085年
ヘブンズパレスには、「フライマンサーカス」と言う人気サーカス団があります。そのサーカス団の団長「蠅男」と花形スター「魔女」の間に、子供が産まれました。ヘブンズパレス歴0085年の事です。ところがその子供は、先天性の免疫不全で、毒の無い環境では、みるみる弱ってしまうのです。毒の無い環境では、生きられない子供でした。
その子は、「ジャック」と名付けられる予定でした。
こんな子供はいらないと、ジャックを地下水路に捨ててしまう蠅男。
どんな子供でも愛おしいと、ジャックに生き続けて欲しい魔女。ジャックを生かすために、ヘブンズパレス中を毒で満たそうと、毒の雨を降らせます。
ところが、その毒は強すぎたのです。魔女自身も含め、ヘブンズパレスの人間は、一部の例外を除き、全員死んでしまいました。
一部の例外とは、毒の中でも生きられるジャック、そして、無菌室で暮らすサリーでした。
この二人の例外以外は、自分が死んだ事もわからず、魂だけの存在になってしまいました。
ヘブンズパレス歴0085年〜009x年
ネズミくんが、偶然地下水脈で、捨てられていた赤ん坊を見つけます。
ネズミくんは、赤ん坊を「有毒少年」と呼びました。
ネズミくんは、有毒少年を地下シェルターで育てつつ、外の世界(ヘブンズパレス)の話を聞かせます。
舞台中に出て来る、ネズミくんが有毒少年に教えたのは、次の事です。
- 有毒少年のパパとママが名前を付けてくれなかったから、名前が無い。
- この世で一番美しい物は花。
- 地下水脈に落ちない様に気をつける事。
- 人から何かしてもらったら、「ありがとう」を言う事。
- 人に迷惑をかけた時は、素直に謝る事。
- その他、外の世界の事を色々。
他に、ありましたかねぇ〜。
ネズミくんは、ある日を境に、有毒少年の前から姿を消します。有毒少年は、ネズミくんは地下水脈に落ちてしまったのだと思いました。
でも実際には、ネズミくんは自分の本当の名前を思い出し、消えてしまったのです。
ネズミくんが消えてしまったのがいつかは舞台には出てきません。ですが、有毒少年が独り立ちできる様になっている年齢(小学生くらい?)まで育っている事から、009x年だと思われます。
ヘブンズパレス歴009x年
訳のわからない物を専門に狙う怪盗「蝙蝠」がヘブンズパレスで幅を利かせています。
その蝙蝠を捕まえるため、ヘブンズパレス・ヤード(ヘブンズパレス警察)の隊長「青蛇」が追いかけています。
蝙蝠が、フライマンサーカス団を抜けたのがいつなのか、舞台の中では出てきません。まあ、90年代だろうと。
ヘブンズパレス歴0100年
ヘブンズパレスが誕生して、今年で100年になります。
それを記念して、「ヘブンズパレス100年祭」が開催される事になりました。
この年が、舞台「有毒少年」の話の中心です。舞台進行に合わせて、詳しく書きます。
いつも通り、青蛇が蝙蝠を追いかけています。蝙蝠の相棒の闇商人「黒猫」も一緒に追いかけられています。
このままでは、蝙蝠も黒猫も一緒に捕まってしまうと言う事で、二人は取引をします。黒猫が囮(おとり)になる代わりに、蝙蝠の盗品「海人(うみんちゅ)のTシャツ」/「相田みつをの卓上カレンダー」(日替わりネタ)を要求します。
黒猫も蝙蝠も上手く逃げ果せました。ところが、蝙蝠は「夜空」の闇討ちに遭い、地下水路に落ちてしまいます。
そんな蝙蝠を助けたのが、有毒少年でした。
蝙蝠は有毒少年に、外の世界の話をせがまれます。
ひとりぼっちを気にする有毒少年。そんな有毒少年に、この世界で一番孤独な「フライマンサーカス団」団長の「蠅男」の話をします。
そして、蝙蝠は、有毒少年を外の世界に連れ出し、この世で一番美しいもの「花」を見せる事を約束します。
ところがそこへ、蝙蝠の居場所を嗅ぎ付けた青蛇がやってきます。蝙蝠は、青蛇に捕まり、牢獄に入れられてしまいました。
蝙蝠が捕まった事は大きなニュースになり、「無毒少女」の知る所になりました。
地下シェルターで発見された有毒少年は、外の世界に出られる事になったのです。
有毒少年は、蝙蝠から話を聞いていた、フライマンサーカス団を引受先に指定します。
ヘブンズパレス100年祭では、サーカスカーニバルがあります。
団員が「ピエロ」しかいなくなっていたフライマンサーカス団でしたが、有毒少年の特殊能力「体から吹き出る毒でいろんな物を腐らせたり、何処にでもカビを生やせる」を出し物に、サーカスカーニバルに出場する事になりました。
ヘブンズパレス100年祭に行く予定だった無毒少女は、有毒少年に会いたいと願っています。
一方、牢獄に入れられていた蝙蝠は、黒猫の協力で脱獄に成功します。
そればかりか、ヘブンズパレス100年祭のサーカスカーニバルに出演する有毒少年を盗み出すと言う予告状を、蠅男に送ります。
今回も、蝙蝠と黒猫が結託します。サーカスカーニバル会場を黒猫が停電させ、その隙に蝙蝠が有毒少年を盗み出したのです。
ごった返すサーカスカーニバル会場。そこから逃げようとする、蝙蝠、黒猫、そして有毒少年。
そんな所で、有毒少年を一目見ようと思って、父「ブリキの大公」から逃げ出していた無毒少女「サリー」とばったり出会います。
成り行きで、蝙蝠はサリーも盗み出してしまいます。
有毒少年が外の世界で生きるのには、無理がありました。体が衰弱して、倒れてしまいます。
とりあえず、有毒少年を介抱するために、みんなで幽霊屋敷に逃げ込みました。
有毒少年の命を助けるには、元居た有毒な環境の地下シェルターに連れて行くしかありません。でも、それもかなわない程、有毒少年は衰弱していたのでした。もう、手遅れだったのです。
サリーを取り返すべく、ブリキの大公が軍隊を幽霊屋敷差し向けていたのでした。幽霊屋敷は、軍隊に取り囲まれてしまいました。
蝙蝠達は、せめて最期に、有毒少年の願い「花が見たい」を叶えるために、黒猫の秘密の花園に連れ出す事にしました。
軍隊に囲まれた今はもう、幽霊屋敷から出る事もままなりません。
そんな中で、15年前(ヘブンズパレス歴0085年)の秘密が解き明かされました。
ピエロは「魔女」の森にいました。ピエロは、有毒少年からママ(魔女)の本当の名前を聞いていたのです。
ピエロから魔女に名前が告げられた時、魔女は天に昇り、同時に毒の雨の副作用の呪いが解かれました。
ピエロも、本当の名前を思い出し、天に昇りました。
(ここから舞台では、スローシークエンスと呼ばれるシーンになります。全ての動きがスローモーションです。役者は口を動かしますが、誰一人として声を出しません。)
時を同じくして、ブリキの大公が、軍隊に幽霊屋敷に襲いかかる様に命令します。
幽霊屋敷から出て来た有毒少年は、ブリキの大公の撃った弾で傷ついてしまいます。ブリキの大公が、この世でサリー以外の生きている人間を見つけてしまった瞬間です。ブリキの大公は、苦悶の表情を浮かべます。
蝙蝠が有毒少年をつれて、黒猫の秘密の花園に案内します。
幽霊屋敷の混乱の中で、次々と名前を思い出した魂達が天に昇って行きます。ブリキの大公も、夜空も、黒猫も青蛇も。その場に居合わせた、石帽子と時計兎は、(口の動きだけで)「記者魂!」と叫びながら天に昇ります。
やっと思いで、蝙蝠と有毒少年は、黒猫の秘密の花園にたどり着きました。たどり着いた時、蝙蝠は本当の名前を思い出します。
蝙蝠は、有毒少年に最期の挨拶をします。(口の動きだけで)「じゃあな、有毒少年。ありがとう。」と言った後、天に昇って行きます。
(ここで、スローシークエンスが終わります。)
でも秘密の花園には、花はありませんでした。有毒少年の毒で、花が枯れてしまったのです。
そこに、後を追って来たサリーもたどり着きました。
有毒少年とキスをする無毒少女サリー。その毒で、無毒少女は息を引き取ってしまった様でした。
腕の中の無毒少女を見つめる有毒少年。最期に、この世で一番美しいもの「花」は無毒少女だったと気づき、息絶えます。
ヘブンズパレス歴0110年
息を引き取ってしまったかの様に見えた無毒少女サリーは生きていました。有毒少年とのキスから受けた毒が、長い年月をかけて抗体に変わり、普通の体になったのです。
旅に出ていたサリーは、幽霊屋敷にたどり着きました。そこで、「幽霊」と出会い、自らを「読書家」と紹介します。
サリーと幽霊は、昔話をします。この昔話が、ヘブンズパレス0100年の出来事です。
サリーは、旅に出ている間にすばらしいアイデアを思いつきました。そのアイデアとは、幽霊の名付け親になる事だったのです。
名前を思い出した魂達は、天に昇る事ができました。ところが、名前を付けられる前に死んでしまった幽霊には、思い出す名前すら無く、成仏できない運命でした。
その運命を変えるのが、幽霊に名前を付ける事だったのです。
サリーから名前を呼ばれた幽霊は、天に昇って行きます。
名前を貰った幽霊も消え、サリーは一人ぼっちになりました。そして、また旅立って行きました。
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ディスカッション
有毒少年の解説、
色々とありがとうございます。
おかげさまでヘブンズパレスの謎が少しずつ解ってきました。
こうして年表にしてみるのもいいですね^^。
えのちゃんさんへ、いつもコメントありがとうございます。
最初は、年表を使っての解説だけにしようと思っていたのですが、それだけだと上手くまとめられなかったのです。
それで、2件のネタバレを追加しました。
ネタバレシリーズは、もう少し続きます。