PC/AT用のRadeon9700proをMacで使えるように改造
Windows(PC/AT)用のRadeon 9700proの中古を購入しました。それを、Mac用に改造して使っています。最初にお断りしておきますが、ここで書いた方法を使って、Mac本体やビデオカードを壊してしまっても、責任はとれませんので、よろしくお願いします。
動機
PowerMac G4/MDD 1.25GHz/Dual (Model:M9309J/A)には、ATI Radeon 9000proが搭載されています。ですが、このビデオカードは、Mac OS X 10.4 Tigerに搭載されたCore Imageに対応していません。Core Imageに対応するビデオカードは、Direct X9以上に対応しなければならないようです。
Core Imageに対応したビデオカードを使うと何が嬉しいかと言うと、各種グラフィックフィルタ処理をCPUの代わりにGPUが担当する事になるので、フィルタ処理を高速に行う事が出来るようになります。
でも、普段使っている時には、それをあまり意識できません。一番目に付くのは、同じくTigerで導入されたWidgetを新しく表示する時、画面に波紋が現れる事です。この波紋を見たくて、Core Image対応のビデオカードを導入しました。
それと、モニターを二台持っているので、デュアルディスプレイで利用したいと言う事もありました。Radeon 9000proでも、ADC→DVI変換ケーブルを使うと、デュアルディスプレイを実現できるのですが、この変換ケーブルが入手困難な上に高いのです。
ATI Radeon 9700proを選んだ理由
ビデオカードの性能比較(ベンチマーク)や特徴、ROM書き換えのしやすさ、そして消費電力を考えて、ATI Radeon 9700proにしました。
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使っている機材は、次の通りです。
- PowerMac G4/MDD
- Radeon 9700pro
- DELL Optiplex GX150
この他に、ROMデータが必要です。
- Reduced ROM
- Mac用最終ROM (“August 2005 ATI RADEON Universal ROM Update for ATI Retail Mac Cards"または"October 2004 ATI RADEON Universal ROM Update for ATI Retail Mac Cards"、入手困難)
手順
PC/AT用ですので、当然そのままでは、PowerMac G4/MDDでは使えません。使えるようにするためには、次の二点が必要です。
- ファームウェア(ROM)書き換え
- AGP信号のマスク
ファームウエアの書き換えは、AGPビデオカードスロット付きのPC/AT機で行いました。改造の参考にしたホームページを見ると、次のような手順でした。
- PC/AT機で(サイズが64k以下の)reduced ROMを書き込む
- Macに取り付け
- MacでROM update
この方法で、無事、PC/AT用のビデオカードが、Macで使えるようになりました。
ファームウェア(ROM)の書き換え
まず、ビデオカードをPC/AT機、私の場合、Dell OPTIPLEX GX150に取り付けます。GX150のオリジナルでは、電源容量に不安があるので、初代、二代目の書き換え時は外付け電源を使用していました。三代目の書き換え時は、標準電源のみで動作させました。短時間なら大丈夫なようです。Radeon 9700proビデオカードには、補助電源をつなぐコネクタがありますので、忘れずにつなげておく必要があります。正しくつなげないと、PCが立ち上がりません。
PC/AT機でファームウェア(ROM)を書き換える時は、DOS(DR-DOS)で立ち上げます。
PC/AT機でファームウェア(ROM)を書き換える時に使う、FLASHROMコマンドの使い方は、次の通りです。
- flashrom -s 0 radeonpc.rom (オリジナルのROMをバックアップ)
- flashrom -f -p 0 radmacr.rom (Mac用のROMを書き込む)
“radmacr.rom"が、書き込むROMイメージのファイル名です。オリジナルの名前は、もっと長い名前がついている場合がありますので、短い名前(8文字+3文字)に直しておく方が無難です。
書き換えのためにDELL Optipelx GX150に、Radeon 9700proを装着している様子を載せます。
AGP信号のマスク
ROMの書き換えの後で、ビデオカードの信号(AGP)をマスクします。具体的には、ビデオカード裏面のコネクタ(端子)、右から数えて3番目と11番目の端子を絶縁します。端子の下の段だけで数えると、右から2番目と6番目です。
私は、絶縁にセロハンテープを使いました。端子部分にセロハンテープを貼り、端子の形に合わせてカッターナイフで切り取ります。パターンそのものに傷を付けないように注意する必要があります。
絶縁する理由が書かれたWebページがあったのですが、今は無くなっています。私の記憶によると、AGPの速度を強制的に設定するためです。
Macでの作業
絶縁したら、Macに装着です。Macでは、ビデオカードへの補助電源をつながなくても立ち上がりますが、安全のため、きちんと補助電源をつないでおいた方が良いと思います。画面が映れば、まずは成功です。まだ、MacでROM update前なのですが、一応Core Imageは使えるようです。
最後は、MacでROM updateです。ATI(AMD)のホームページから、ROM updateユーティリティをダウンロードします。ROM updateを実行する時は、Macをsafe boot状態(Shiftキーを押しながら立ち上げる)にしないと、出来ないようです。
これできちんとROM updateされたかを確認したいところですが、うまく行きませんでした。バージョンアップされたかどうかは、おそらく、システムプロファイラの「グラフィクス/ディスプレイ」の「ROMリビジョン」を見ればいいのだと思います。ですが、ROM update前のバージョンとROM update後のバージョンが同じなのです。現在の「ROMリビジョン」は、"113-A06500-124″になっています。Radeon 9700proと言うのが原因かと思われます。
それでも、Core Imageは使えるし、デュアルディスプレイも使えるので、実害はありません。
参考にしたページ
- Instructions For Flashing Pc Video Cards, Series 3 – CubeOwner Forums
改造の参考にしたページです。更に、ここから、reduced ROMをダウンロードできます。英語サイトですが、他にも詳しい情報が満載です。PC/ATで書き換える方法の他に、Mac OS 9を使う方法、Mac OS XでPCIビデオカードを持っている場合の方法、Mac OS XでVNCを使う方法が載っています。Radeon 7000-9100を書き換える方法等もあります。 - Power Mac G5 用8x AGP ビデオカード Radeon 9600 Pro をPower Mac G4で使用する
AGP信号のマスク方法が載っています。 - AMDのウェブサイト
最終段階で使うROMデータ(“August 2005 ATI RADEON Universal ROM Update for ATI Retail Mac Cards"または"October 2004 ATI RADEON Universal ROM Update for ATI Retail Mac Cards")が必要です。
以前は、AMDのウェブサイトにおかれていたのですが、今は無くなっているようです。 - ShimaのページのVGAチップ
各種VGAチップの解説があります。 - VGA Charts IV: AGP Graphics Cards | Tom’s Hardware
AGP世代のビデオカード(ATI/nVIDIA)のベンチマーク情報です。
歴史
初代の9700proは、書き換えてから二年弱で壊れてしまいました。画面にノイズが乗ります。二代目の9700proは、書き換えてから約半年で壊れてしまいました。初代と同じような壊れ方です。三代目の現在、順調に動いています。
パッケージとクーラーが違うだけで、ビデオカード自体は同じようです。
- 初代
- 2005年7月じゃんぱらで購入。14,780円。2006年12月まで使用。
ビデオカード不調になってしまいました。
- 二代目
- 2007年7月じゃんぱらで購入。4,480円。2008年1月まで使用していました。
ビデオカードが故障[追記あり]してしまいました。
- 三代目
- 2008年2月オークションで購入。4,100円。その4月に、ADC-DVIケーブルを入手してRadeon 9000proに戻したため、使用をやめました。
基本的に、RADEON 9800でも同じ方法で改造可能なはずです。
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