Power Mac G4 MDD 静音(静穏)化(冷却も)

2017年5月31日Mac

ブログのアクセス記録を見ていると、Power Mac G4/MDDの静音化で検索されてくることが多いです。それなりに苦労して静音(静穏)化したので、まとめてみようと思います。お約束ですが、この内容にそって実行されて不具合が発生しても責任は取れません。ご了承ください。

基礎編

PowerMac G4/MDD 1.25GHz/Dual (Model:M9309J/A)を使っています。Mac OS 9起動可能な最後のモデルです。今までのソフトの資産を活かすため、売り切れ直前に、駆け込みで購入しました。高かったのですが、よい買い物だと思っています。

起動した最初の感想は、「なんだ〜、このファンの音は!」というくらいの、爆音です。特に、Mac OS 9の時がひどいのです。そこで、その解決方法をwebをさがしまくりました。その時に、お世話になったサイトは次の通りです。

本当にお世話になりました。みなさん、苦労していることが分かります。

PowerMac G4/MDD 1.25GHz/Dual (Model:M9309J/A)の爆音の最大の原因は、メインファンです。きょう体を開け、メインファンコネクタを外した状態で使ってみると(短時間限定。重要!)、その効果が分ります。途端に静かになります。このことから、最も効果的なのは、メインファンを交換することだと言えそうです。

オリジナルで使用されていたファンは、"PAPST(R) MULTIFAN 4212H"というタイプでした。このファンと同じサイズで、同等の冷却性能を持ち、音が静かなファンに交換すればよいことになります。

冷却性能は何で表せばよいかと言うと、ファンが送り出せる風量になります。単位としては、m3/minとCFM(Cubic Feet per Minutes)があります。お互いに換算可能です。換算式が、長尾製作所のWebに載っています。1[m3/min]==35.31[CFM]です。

音の大きさは、dB(デシベル)で表されます。しかし、デシベルと言っても、どの程度の音量(正確には音の強さ)なのか分りづらいですよね? これもwebで検索しました。次のページが分りやすかったので、紹介しておきます。

先ほどのG4 MDD 静音化 いじりくまわした記録1G4 MDD いじくりまわした記録 資料によると、MULTIFAN 4212Hの風量は、最大で「3.07[m3/min], 108.3[CFM]」となっています。そして、音の大きさは、49[dB]となっています。クーラーの室外機の、始動時程度の音量と言うことのようです。

交換するには、これと同等の風量のファンを探せばよいこととなります。一番近い風量のものは、先ほどの資料で、山洋電気の109R1212Hと言うものがあります。ところがこれは、それほど音が小さくなりません。音量は39dBとなっています。風量の次点として、XINRUILIAN(シンルイリアン)RDL1238Sが紹介されています。風量は、最大で「2.68[m3/min], 94.63[CFM]」となっています。音量も29.3[dB]なので、ささやき声程度になると予想されます。これらのことから、このRDL1238Sを候補として決めました。

次に問題となるのは、どこで入手するかです。12cm x 12cm x 38mmというサイズのファンになるのですが、良く行く店には置いてありませんでした。12cm x 12cm x 25mmというタイプは一般的で、いろいろ置いてあるのですが…。そこで、輸入元の長尾製作所をwebでさがしました。それによると、昔はXINRUILIANのファンも通販をしていたようなのですが、入手しようとした時点では、通販の取り扱いは終わってしまっていました。そこで、直接連絡して聞いてみたところ、「来ていただければ、小売りできますよ」との事だでした。家からはかなり遠いのですが、行けない距離ではありません。入手するためには仕方がないので、行くことにしました。店の場所は、町工場が集まっているような地区の中にあります。いきなり行っても、まず見つけることは出来ないでしょう。私が行ったときは何度も電話連絡をしながら、やっと見つけることが出来ました。

価格がいくらだったか忘れてしまいましたが、2000円はしなかったと思います。なお、長尾製作所の記載によると、RDL1238Sの風量は94.73[CFM]となっているので、こちらの方が正しいと思われます。

長尾製作所無しでは、この静音化は達成できませんでした。また、快く小売り対応にも応えてもらえ、道に迷ったときには、わざわざ外で待っていてくれました。本当にありがたいことです。

購入したときの袋の写真を載せます。ただし、中に入っているファンは、PowerMac G4/MDDオリジナルのものです。

RDL 1238S

この改造の最大の難関は、ファンRDL1238Sの入手です。次の方法を取れると思います。

  • 長尾製作所に直接買いに行く
  • 小売店を通して注文する
  • 「RDL1238S 価格比較」をキーワードとして検索し、扱っている店を探す

なお、製品名に"PWM"付きの物がありますが、これは多分使えないと思います。ファンのコネクタが4ピンになっていて、回転数制御の端子が増えています。こちらも使えるはずです。

今は、Amazonでも取り扱っているようです。

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交換編

まずは準備から説明します。ここで、誰もが問題となるのが、一般に売られているファンは3pinタイプのもので、MDDで使われているものは、2pinタイプのものと言うことです。ですが、その問題の解決は、それほど難しくありません。 3pinのコネクタからケーブルを外し、オリジナルの2pinのコネクタにつなぎ替えればよいだけです。3pinの内1pinはセンサー用で、Macでは使っていないため、必要ないのです。

コネクタからピンを外すときは、コネクタの留め具をマイナスドライバなどで押さえながら、ケーブルを引き抜けばよいです。このようにして、オリジナルのファン、新しいファンそれぞれのコネクタを外します。外した後は、オリジナルに付いていた2pinのコネクタに、新しいファンのケーブルを取り付ければ準備完了となります。

なお、コネクタの付け替えの詳しいやり方が、G4 MDD 静音化 いじりくまわした記録1に出ています。参考にしてください。

  1. オリジナルのファンのケーブルをコネクタから外す。
  2. 新しいファンのケーブルをコネクタから外す。
  3. 新しいファンのケーブルを、オリジナルのコネクタに取り付ける。

この時、極性に注意してください。元のコネクタで赤い配線の所に、新しいファンの赤い配線を取り付ける必要があります。

交換した結果の写真を載せます。マザーボードに付けた状態です。オリジナルのコネクタに残っているのが、センサー用のケーブルです。

コネクタ

次はいよいよファンの取り付けです。ファンの取り付け・取り外しの方法が、Micro Solution MORE SILENT-COOL GAP FRAME FAN #01に詳しく書かれていたのですが、無くなってしまっています。手順を、次の通りに簡単にまとめました。

  1. 光学ドライブユニットを外す。
  2. マザーボードから、ファンコネクタを外す。
  3. オリジナルのファンを外す。
  4. 前記の方法で、コネクタを付け替える。
  5. 取り外したファンから、ファンガードを外す。
  6. 新しいファンに、ファンガードを取り付ける(取り付け直す)
  7. 表裏に注意して、新しいファンを取り付ける。
  8. マザーボードに、ファンコネクタを取り付ける。
  9. 光学ドライブユニットを元に戻す。

ファンは、前面吸気、背面排気となる方向で取り付ける必要があります。ファンの側面に矢印が書いてあるので、すぐにわかると思います。

この交換の結果、騒音が劇的に軽減しました。苦労した甲斐があります。冷却効果もさほど変わらない様子です。室温28℃で、CPU温度は59.8℃位を維持しています。CPUの温度は、Temperature Monitorを使用して測定しています。この59.8℃と言う温度が他のMDD(Dual 1.25GHz CPU)の平均より高いのか低いのかは分りません。しかし、60℃と言う切りの良い温度を切っているので、良いこととしようと思います。

冷却編

静音(静穏)化ではないですが、冷却対策として、XINRUILIANの小さなファンRDL7015S(70mm x 70mm x 15mm)を、CPUの放熱板と背面板の間に増設しています。このファンは、普通の量販店で入手できると思います。

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メインファンと同様に、前面吸気、背面排気の方向で取り付けています。一つだけ増設した分には、さほど温度が変わった様子はなかったのですが、二つ増設したところ、CPU温度が約1℃の低下と言う効果がありました。59.0℃付近でふらふらしています。微妙なところなのですが、メインファンの回転数を切り替える温度をまたぐので、メインファンの回転数を抑える事が出来ます。全体の音量も、たいして変わりありませんでした。小型ファン増設でそれらの音量が増えた分、メインファンの音量が減った感じです。また、良い副作用としてハードディスクの温度も下がったようです。

ただし、このファンの増設を行うと、DIMM(メモリ)の取り外しレバーと干渉します。なので、DIMMの交換のためには、いったん、ファンを取り外す必要があります。私のMDDの場合、最大容量の2GBまで増設してあるので、もう、DIMM交換の必要がありません。

RDL7015Sを増設する事により、きょう体カバーを開けた状態でも、CPUの廃熱を排気出来るようになりました。ふたを開けた状態でも、CPU温度は59℃前後を維持していいます。すごいです!

試しに、メインファンを止め、RDL7015S x 2で、ふたを閉めた状態で十分な排気が出来るか試したみました。しかし、さすがに、これはNGでした。CPU温度が60℃を超えてしまいます。メインファンは、ふたを閉じた状態だと、十分有効に働いている事が分かりました。

RDL7015Sを二つ取り付けた状態の写真を載せます。

RDL7015S x 2

それとは別に、冷却に良いと書いてあった記事を読んだので、前面のスピーカーも外してみました。しかし、この効果は無いようです。元通りに取り付けておきました。

実は一番効果的なのは、きょう体を開けて、扇風機でCPUに直接風を当てることです。しかし、見た目が悪くなります。そこまでして、使いたくはありません。

時々、CPU温度が通常より高くなることがあります。そういうときは、室温が高いときなので、エアコンをつけることにしています。これが、現実的な冷却対策だと思っています。

Posted by お市のかた