6. 調理レシピ〜マグマダイバー〜
修理方法の詳細を、次の順で説明します。
- 道具・材料の準備
- ロジックボード取り外し
- 加熱実験
- 調理
- ロジックボード取り付け
以下は、私の場合の成功例を載せていますが、この様な修理方法を推奨する物ではありません。ロジックボードを壊滅的に壊してしまう危険性、火傷をする危険性、最悪の場合火災になる可能性があります。ご自身の判断でお願いします。
1. 道具・材料の準備
- ホットプレート(〜240℃まで加熱可能な物)
- 温度計(〜300℃まで測定可能な物)
- プラスライバー(#00, #1)、トルクスドライバー(T6)
- へら
- エアダスター
- ウェットティッシュ
- 荷造り用テープ
- 熱伝導グリス
ホットプレート(〜240℃まで加熱可能な物)
鉛フリーはんだの融点は、220℃程度の様ですが、確実に半田付けする為にそれよりも若干高くする必要がある様です。AMDの資料では、最大245℃まで加熱する様に書かれています。
私は、手持ちのホットプレートを使いました。加熱温度が260℃までとなっています。ですが、実際には230℃程度までしか加熱できませんでした。買ってから、相当年数が経っているので、経年劣化してしまったのでしょうか?
ホットプレートで半田リフローをする人の定番は、次の機種の様です。
[amazonjs asin="B0016V45MG" locale="JP"]また、Macbook Pro 15 (Early 2011)のロジックボードは、22cm x 14cm程度の大きさですので、これが入る大きさのホットプレートが必要です。
温度計(〜300℃まで測定可能な物)
温度計には色々ありますが、これも、手持ちの温度計を使いました。熱電対を対象物に当てて測定します。熱電対の極性を間違えると、温度表示がおかしくなるので、ご注意下さい。
[amazonjs asin="B001M5TQRU" locale="JP"]プラスライバー(#00, #1)、トルクスドライバー(T6)、Y字ドライバ(#1)
バッテリーを外さなければ、ロジックボードを外すのには、Y字ドライバは不要です。ですが、再組み立てする時に、バッテリーがあると邪魔なので、外した方が良いと思います。
私は、ホームセンターで購入しましたが、Amazonでは次の物の人気が高い様です。多分、必要なドライバーが全部入っていると思います(私が持っている物とは違います)。
[amazonjs asin="B00ASARYZQ" locale="JP"]ヘラ
専用のヘラ(工具)が売られています。iFixitの記事を見て、ヘラを使っている部分の作業を、手持ちの粘土ヘラで代用できそうだったので、粘土ヘラで代用しました。粘土ヘラは、ダイソーで購入した物です。
iFixitでオススメのヘラ(工具)は、次の物(Spudger)です。ただし、業者を選ばないと、粗悪品を買わされてしまう様です。レビューをご覧ください。
[amazonjs asin="B006NTXIVK" locale="JP"]エアダスター
空冷ファンに詰まっている埃を吹き飛ばします。無くても構いませんが、せっかく分解するので、奇麗にしておきたい所です。
[amazonjs asin="B0019SZZVG" locale="JP"]荷造り用テープ
外したねじをなくさない様に、留めておきます。なくさない自信があれば、使わなくても良いですけれど。
[amazonjs asin="B003WJBK28" locale="JP"]わかり辛いかもしれませんが、写真の赤い枠の中の様に、ねじを留めています。
ウェットティッシュ
熱伝導グリスを拭き取る為に使います。
[amazonjs asin="B000CBQIJE" locale="JP"]グリスクリーナがあると、古いグリスを奇麗に取り除く事が出来ると思います。
[amazonjs asin="B00430EX2E" locale="JP"]熱伝導グリス
放熱器を取り付ける時に、CPUとGPUに塗ります。なるべく、熱伝導率の高い物を使った方が良いと思います。
私は、次の製品が高い熱伝導率(9.24W/m℃)の割に安かったので、これを買いました。1.5グラム入りだと、ちょうど2回分の様です。
[amazonjs asin="B008L9STL4" locale="JP"]ヘラがあると、作業が楽になると思います。
[amazonjs asin="B000BLDBZO" locale="JP"]2. ロジックボード取り外し
ロジックボードの取り外しは、iFixitの記事をご覧ください。英語ですが、図入りでとても丁寧です。この手順通りにやれば、ロジックボードを取り外せます。
GPUの拡大図です。AMD 6750Mを意味するのは、どこなのでしょうか?
3. 加熱実験
ホットプレートを、温度変化を測定しつつ、空焚きします。必要な温度をだす為に、ホットプレートの温度設定をどうすれば良いかを確認します。サラッとしか書きませんが、この実験は、かなり重要です。
次の温度プロファイルを作り出す為に、ホットプレートに対して、どう言う操作をすれば良いかを調べておきます。
From AMD 780E Databook (PDF) Page 5-12
4. 調理
いよいよ本番です。美味しい、焼きリンゴができるかどうか!
加熱すれば良いのは、GPUだけだとわかっているので、それ以外の部分をアルミホイルで包みました。GPUの部分に穴を空けて、露出されています。この方のアルミホイルのくりぬき方を参考にさせていただきました。Thank you!
温度プロファイルは、次の様にしました。
1回目は、220度に保持する時間が短すぎたようで、すぐに再故障しました。2回目は、220度に保持する時間を長めにしました。3回目は、220度に達していない様に見えますが、これは温度計がずれてしまっていたためです。実際には、220度を超えていた様です。どれも、理想的な温度プロファイルにはなっていません。
次の様な環境で、ホットプレートを使っています。参考にさせていただいたページで、半田が溶ける時にかなりの臭いがすると書かれていました。理想的には、屋外でするのが良いみたいです。私は、参考にさせていただいたページに書いてあった通り、浴室で、換気ファンを回しながら使いました。私の場合は、特に臭いは感じませんでした。
5. ロジックボード取り付け
今度は、iFixitの記事の逆順で、ロジックボードを取り付けます。コネクタの接続をきちんとしないと、立ち上がりません。
私は、(おそらく)キーボードケーブルの接触不良で、一度起動しなかった事があります。つなぎ直した所、無事起動しました。
目次
- Macbook Pro 15 (Early 2011)が抱える問題〜死に至る病、そして〜
- GPU故障〜使徒、襲来〜
- Windowsへの影響〜Windows8.1、誕生〜
- Appleの対応〜嘘と沈黙〜
- 保証期間終了後〜静止した闇の中で〜
- 調理レシピ〜マグマダイバー〜
- 調理レビュー〜奇跡の価値は〜
なお、この記事は、私の体験に基づいた物で、やり方を推奨する訳ではありません。実行される時はご自身のご判断でお願いします。
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