映画「Start Line」の試写会に行ってきました
2016年4月26日、映画「Start Line」の試写会に行ってきました。「Start Line」は、次のウェブサイトで紹介されています。
今回、ちょっとしたご縁があって、ご招待いただきました。場所は、渋谷の映画美学校です。以前行った映画館、ユーロスペースと同じ建物の地下1階です。
- 映画美学校
- 映画「茜色の約束」in ブラジル映画祭2012 : プラスα空間 (2012年10月21日)
「Start Line」は、ひいき目無し、って事も無いのですが、純粋に面白かったです。笑い×4と泣き×1くらいの割合かな?
映画について
映画は、昨年7月1日に沖縄をスタートして8月26日に宗谷岬まで、今村彩子監督自らが自転車で縦断するドキュメンタリーです。
あらすじ
生まれつき耳の聞こえない今村彩子は、聞こえる人とのコミニュケーションが苦手。彼女の祖父と母の立て続けの死が、彼女を打ちのめします。そんな中、偶然触れたスポーツバイク。自転車で風を感じ、自転車で日本を縦断して、コミュニケーションがテーマのドキュメンタリーを撮ろうと決意します。
伴走者と一緒に沖縄からスタートした物の、あいつぐトラブル。体力低下とコミュニケーショントラブルによるストレスに打ちのめされます。苦しみながらも到達した北海道での奇跡の出会い。そして、ゴールの宗谷岬まで1km。ゴールに待ち受ける物は…。
彼女が日本を縦断している間、Facbookで経過が報告されていました。大変な思いをしているなぁと思っていたのですが、映画を見る事で、その裏に隠されていた、数々の思いを知る事が出来ました。
私は昨年、しまなみ海道をサイクリングしました。前々からの夢だったのと、彼女の日本縦断に刺激されて、実現に至りました。私が走ったのは、ほんの80kmほどです。彼女は3,824kmを走りきっています。彼女が走っている時の映像を見ると、私が自転車で走った事を思い出し、彼女は一体どんな思いで走っているのだろうかと想像しただけで、胸が締め付けられます。
- しまなみ海道サイクリング : プラスα空間 (2015年12月29日)
ん〜、やっぱり、バイアスがかかっているかな? でも一緒に行った友人も面白かったと言っていました。感動ポイントも同じです。音楽も良いねぇ〜と言う感想も同じでした。
以前、同じく今村彩子監督が制作した「珈琲とエンピツ」(2011年)と言うドキュメンタリー映画を観た事があります。「ふんふん、なるほど」と言う感じで、出来事を追いかけるだけで見終わってしまって、感情の起伏が少なかったです。
この試写会で「架け橋 きこえなかった3.11」(2013年、今村彩子監督)のDVDが売られていたので買ってきました。3.11後の聴覚障がい者の様子が丁寧に映像化されています。テーマ上、面白さはないですが、「珈琲とエンピツ」よりも映画の作り方が上手くなっていると思います。災害時の聴覚障害へのサポートがいかに重要かがわかりました。
そして、「Start Line」です。全体のバランス、シーンの組み立てから、音楽、そして視覚効果に至るまで、非常によく作られています。57日間に渡る旅の映像から厳選して作られており、視聴者も一緒に旅を楽しめるドキュメンタリーになっています。字幕も楽しいです。
作品が作られる度に、映画制作が上手になっている事がよくわかりました。
聴覚障害について
映画では、耳の聞こえない彼女ができる事、できない事が、包み隠さず映像化されています。耳が聞こえなくてもできる事、聞こえないからできない事、聞こえてもできない事、聞こえないからできる事、がある訳ですが、聞こえなくてもできる事を彼女がしなかった時、伴走者は彼女を激しく責めます。かわいそうなくらい…。
自転車での縦断にあたり、「耳が聞こえなくてもできるはずの事に関しては、伴走者が助けない」に沿った5つのルールが決められます。確かに、これらができれば、聞こえる人とのコミュニケーションの壁を取り払えるでしょう。でも、そのルールを守る事が、彼女を苦しめて行くのです。「何もできない…」と思いこみながら…。
ちょっと湿っぽく書いてしまいましたが、耳が聞こえない事に関しての、「お涙頂戴」的な映画ではありません。耳が聞こえても、コミュニケーションが苦手な人はたくさんいる訳で(私もどちらかと言うと苦手です)、それをどうやって乗り越えて行くかを、自転車による日本縦断コースを彼女と一緒に走りながら、一緒に考えて行く映画だと思います。
あ〜、かっこいい事(と思っている)を書いちゃったよ。でも、こんな感じです。
映画には日本語字幕が付いています。耳が聞こえない人も、手話や英語がわからない人も、一緒に楽しめると思います。
映画は、2016年9月下旬に、名古屋のシネマスコーレで上演が開始されます。全国での劇場公開の準備や、海外の映画祭に応募する為の準備も進められているそうです。公開が楽しみです。
感想
単純な感想になってしまいますが、面白いです。映画のテンポも軽快で、中だるみもありません。今村監督の失敗談に笑わされ、成長の度に感動します。
聴覚障害ってなんだろう? コミュニケーションを取る事ってなんだろう? どうすればいいのだろう? そんな事を考えさせられました。他者とコミュニケーションを取る必要性は、聴覚障害の有無に関係ありません。
多くの人に観ていただきたい映画だと思いました。私自身、もう一度観てみたい映画です。
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予告編には、大阪と東京の物もあります。どちらも面白いです。予告編も面白いのですが、本編も期待を裏切らない面白さでした。これら3つの予告編を面白いと感じた方は、本編も楽しめると思います。
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