とんび [Kindle版]

2016年4月30日読書ノート

書名 とんび [Kindle版]
著者 重松 清 本の所在 Kindle
出版社 角川書店 価格 558円
出版年 2011年12月25日 評価 ★★★★★
読書期間 2015年04月05日〜2015年05月11日
心に残った言葉

「雪は悲しみじゃ。...なんぼ雪が降っても、それを黙って、知らん顔して呑み込んでいく海にならんといけん」(「海に降る雪」より)

「アキラが悲しいときにおまえまで一緒に悲しんどったらいけん。アキラが泣いとったら、お前は笑え。」(「海に降る雪」より)

「親としての全てが初めて。そして、すべてが最初で最期の体験になってしまう。」(「ふたばの季節」より)

「なに言うとるん、子どもにべたべたに甘えさせてやれんような親は、親とちがうわ」(「ゲンコツ」より)

「後悔は悪いこととは違うよ。いっぺんも後悔せんですむ人生やら、どこにもありゃあせん」(「ゲンコツ」より)

「親はそげん偉うない。ちいとばかり早う生まれて、ちいとばかり背負うものが多い、それだけの違いじゃ」(「ふるさと」より)

「『親が子どもにしてやらんといけんことは、たった一つしかありゃあせんのよ』『..なに?』『子どもに寂しい思いをさせるな』」(「ふるさと」より)

感想

あとがきに書かれていたのですが「不器用な父親の物語」となっています。まさに、この通りです。主人公のヤスさんは、本当に不器用です。本当の気持ちを素直に伝えられなくて、息子のアキラとトラブルを起こしてしまいます。アキラは、思春期の頃はその不器用さに反発していましたが、アキラの成長とともに逆に父親が本当に言いたい事を見抜いていきます。ヤスさんは、晩年になって、ある程度は素直な感情表現ができる様になりますが、芯を通すところは通し切るという、漢(おとこ)です。

本を読んでいると、自然に感情移入してしまって、何度も涙ぐみました。その箇所は、不自然に涙を誘うような文章ではなく、読んでいて感情が高まって涙が出る感じです。

今回、心に残った言葉が多くて、引用量が増えてしまいました。確認してみると、親が子どもを育てる時の心構えがほとんどですね。それくらい、ヤスさんや周りの人たちが、アキラを大切にしてくれていると言うことの表れだと思います。

ストーリー展開は先が見えず、最後までドキドキしながら読んでいました。

この本は、これから親になる人、現時点で親の人に読んでいただきたいです。

[amazonjs asin="B009GPMFVM" locale="JP"]

読書記事

Posted by お市のかた