舞台「さくら色オカンの嫁入り」を観てきました(ネタバレあり感想編)[訂正・追記あり]
本日、大阪千秋楽が終わり、舞台「さくら色オカンの嫁入り」の全公演が終わりました。舞台関係者の皆様、お疲れさまでした。
[amazonjs asin="4796673466" locale="JP"]せっかくですので、ネタバレ付きの感想を…と思いましたが、あまり、書く事が無いかも。だいぶ、記憶も薄らいでしまったし…。
【あらすじ】
元同僚を元気付けるつもりでした行動を誤解され、ストーカー被害に遭う月子。ストーカーに暴力を振るわれてしまいます。その事がきっかけで、月子は外出恐怖症になってしまいました。
外出恐怖症になって一年になろうかと言う頃、酔って帰って来たオカンが、見知らぬ男「捨て男」を拾って(連れて)きます。その男は、服部研二。赤シャツを着て、菅原文太が好きと言う変わった男です。
オカンは、その男を連れて来たどころか、結婚すると言い出します。突然の事に驚く月子。驚く月子をよそに、捨て男との同居生活が始まります。
翌朝、捨て男が朝食を用意していました。捨て男は、料理が得意。それもそのはず、元板前です。捨て男の事が気に入らない月子は、反発します。
その日の夕方、月子が犬のハチを連れてお風呂に入った時、ハチは今までに無かった苦しみを訴えます。呆然とする月子。捨て男は冷静に、ハチを病院に連れて行きます。ハチは尿道結石でした。事なきを得ます。
その事をきっかけに、捨て男に心を開いていく月子。距離が縮まるに連れ、明かされた捨て男の悲しい過去。捨て男が赤シャツを着ている理由、板前だった過去、祖父の事。
そんな事に触れる内、月子に、外に出てみようという心が生まれてきます。
意を決して、オカンの衣装合わせについて行きます。オカンの白無垢姿。感激するのもつかの間、オカンが倒れてしまいます。
オカンは、…。
【感想など】
あらすじは、以上です。
11月1日に、DVDが発売されますので、詳しくはそれをご覧下さい。次のサイトでの、直販のみです。
私は、DVDをすでに注文してあります。届くのが楽しみです。
松下洸平さんのハチの演技がよかったです。犬なんですけれど、人が演じるので、人間の演技もできます。ハチは、月子と捨て男が、信頼関係を築くのに重要な役割をします。また、ナレーションも担当します。ナレーションも、ずっとしているのではなく、舞台の進行上、必要な所で、適切に入っていました。また、月子の心が開いていくに連れ、ハチの言葉が鮮明になっていきます。最後のシーンでは、完全に人の言葉をしゃべっていました。
ハチは、キャッチボールのシーン、お手/おかわりのシーンで笑いを取っていました。
正司花江さんは、アドリブがうまいですね。サク婆を演じていました。自由な会話のシーンでは、巧みにアドリブを入れていました。何回か見ると、どこでアドリブを入れているかわかるんですよね。そのアドリブがわかった所で、笑ってしまいました。
友部康志さんの演じる「男」が、迫力ありました。借金の取り立てをするのですが、その迫力と言ったら! 一番近くで観た時は、本当に怖かったです。
三倉佳奈さんの月子、良かったです。ストーカーに襲われるシーンで表現していた、笑顔→不安→恐怖と言う表情。引きこもっている家の中で、捨て男に対する嫌悪→興味→共感→信頼と言う心の移り変わりも表現できていたと思います。オカン、捨て男、サク婆、ハチとの掛け合いもテンポ良く、気持ち良く見ていられました。楽しいシーンでは、本当に楽しそうに演じていました。
原作には、月子の恋人として「センセイ」が出てきます。舞台では、その存在自体、ばっさり切られていました。月子は、センセイと付き合う時は外出できていました。原作では、月子は外出恐怖症ではなく、出社恐怖症/電車恐怖症だったのです。舞台の脚本の方が、「外出恐怖症」と言う事で、はっきりとした月子の状況が表現できていたと思います。
捨て男が惚れ込んでいるのも、原作はジェームス・ディーンでしたが、舞台では菅原文太になっています。舞台では、ジェームス・ディーンを表現するのが無理(車とか)なので、わかりやすくするために菅原文太になったと、どこかで読みました。赤シャツと言う設定は、そのままでした。原作では、捨て男が住み込みをしていた様子も、もう少し詳しく書かれていたと思うのですが、舞台では必要最小限にカットされていました。
舞台は、月子の家のセットが基本です。そのセットに、白い幕を降ろす事で、別のシーンと切り分けています。白い幕に、照明/影を使って、シーンを演出します。
物語のクライマックスで、オカンが白無垢を着ます。その時は、月子の家セットの仲に、金屏風をセットして演出していました。
少ないセットで、最大限の演出をしています。すごいと思いました。演出は、西川信廣さんです。
照明が、舞台の切り替わりにあわせて、タイミング良く切り替えられていました。光の使い方は、通常の舞台と同じような感じだと思います。照明は吉川ひろ子さんです。
音楽/音響も良かったです。すまけいさんの演じる祖父(服部)が現れるシーンに使われる音楽が、効果的に使われていました。また、演技だけでは単調になってしまうような所で、音楽が入る事によって、起伏がつけられていました。音響は高橋巌さんです。
舞台上で演じる出演者の声をマイクで拾って、スピーカーで拡声します。そのバランスも適切で、自然に聞き取れました。
舞台上に、マイクが設置されているのを初めて知りました。教えていただいたほら貝さん、ありがとうございます。
衣装のゴウダアツコさんも良かったと思います。OLモードの月子、引きこもりモードの月子、他の出演者の衣装を、脚本のイメージ通りの物を選択してくれています。
原作のイメージをそのままに、基本線を明確にする形で脚本を書かれた、赤澤ムックさんは、すばらしいと思います。
初回、第一幕を観た時は、泣きそうになりました。でも、それ以降は、そのような気持ちになりませんでした。泣かせる脚本・演出・演技だったのですが、感情移入できませんでした。
書く事が無いかな〜と思っていましたが、長くなってしまいました。
【関連記事】
原作には、続編が出ています。
[amazonjs asin="4796678891" locale="JP"]私は、この本も買いました。まだ読んでいません。
(訂正 2010-10-10 01:58)
物語の核心部分に触れていた記述を、削除しました。既に読んでしまった方は、ごめんなさい。
(追記 2010-10-11 01:18)
ちなみに、ハチになりたい理由は、劇中で、ハチが月子に膝枕をしてもらったり、髪の毛をクシクシされるからです。うらやまし過ぎる〜! しかも、お風呂も一緒なんて!! 尿道結石は、痛そうですけれど…。
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もう見ました、とても好きです