「ラヴ・レターズ」
8月1日、渋谷のPARCO劇場で上演された、「ラヴ・レターズ」を観てきました。出演者は、馬場徹さんと、三倉佳奈さんの二人だけ。舞台セットも、椅子が2脚とテーブルと水しか無いと言うシンプルさです。
動きはほとんどなく、二人とも台本をめくりながら、話を進めて行くだけです。舞台終盤で、メリッサが亡くなった後に、メリッサ役の佳奈さんがアンディー役の馬場徹さんを見つめるのが、唯一の動きです。
舞台概要とあらすじは、次のウェブサイトをご覧下さい。
台本、それはアンディーとメリッサが書いたラブレターです。そのラブレターを交互に読んで行く事で、舞台が進みます。ラブレターの返事が無い場合は、間で表現します。
私は、予備知識が一切無いまま観に行ったので、舞台の世界に入るのが大変でした。1930年〜1980年頃の欧米が舞台となっています。その頃の世界情勢や風習をある程度理解していないと、楽しめないかもしれません。
ストーリーは、だいたい、次の様な流れで進みます。
- 子どもの頃のアンディーとメリッサ
- 思春期の頃、一緒にダンスレッスンを習う二人
- それぞれ別の寄宿舎生活をする二人
- アンディーの海軍時代。一方メリッサは芸術家に
- 二人が、別々の相手と結婚
- アンディーが法律家を目指す時
- アンディーが政治家となる時
- アンディーとメリッサの再会
- メリッサの死
メリッサが8歳から55歳までのストーリーとなっている様です。
劇が始まった時、佳奈さんが台本を読む声が、異常に高いのです。こんな調子で、台本を読んで行くのか? と思ったのですが、後から考えると、それは子どもの声を再現するための演技なのです。その後、声のトーンは落ち着いた状態になって行きます。
アンディーとメリッサは、幼なじみであり、初めて異性として認識する相手でもあるのですが、考えの違い、そして色々な境遇のために、若い頃は恋人同士には成れませんでした。
手紙を書く事に喜びを感じるアンディー、実際に逢って話したいメリッサ。二人の思いはすれ違います。また、離れているが故の誤解も生じます。
価値観が違うから、すれ違ってしまうのですね。
アンディーが結婚して政治家になった後、不倫と言う形で、アンディーとメリッサは再会します。でも、それは幸せな結末を迎える事は無かったのです。結局、政治家として良い夫・父として生きる事を選んだアンディー、どうしてもアンディーに逢いたいメリッサ。二人の思いは食い違います。
二人のラブレターを通して行きている様は、決して、一直線ではありません。紆余曲折、ドロドロした関係です。
最後は、メリッサが絶望して、死を迎えると言う結末でした。
一昔前の時代ですが、今の時代に当てはめて考える事もできます。現代風に例えるなら、アンディーはネットの世界で生きる人で、メリッサはやはり現実世界に生きる人です。普遍的なストーリーと言う事でしょうか?
メリッサ役を演じられた、三倉佳奈さんの感想が、次の記事になっています。
相当緊張したみたいです。でも、佳奈さんは、私が気付いた限りでは、台詞を1回だけしくじっただけでした。
それに比べて、アンディー役の馬場徹さんは、噛みまくりでした。舞台終演後、ロビーで、馬場徹さんのファンらしき人数名も、同じ感想を持っていた様です。軽い場面、重要な場面に関わらず、台詞を噛んじゃうのです。ちょっと、興ざめでした。
演じる方も、観る方も、緊張感の必要な舞台でした。
他の感想としては、翻訳が堅いと感じました。日本語になりきっていません。意味は十分通じるのですが、いかにも、翻訳した文章と言う感じで、日本語としての綺麗さを感じられませんでした。
今回は、三倉佳奈さんがメリッサを演じましたが、三倉茉奈さんが演じるメリッサも観てみたいです。
三倉佳奈さんは、メリッサを生ききると言う演技スタイルですが、多分、三倉茉奈さんがメリッサを演じると、茉奈さんを通したメリッサが観えてくるはずです。
機会があれば、三倉茉奈さんが演じるメリッサを観てみたいです。
アンケート用紙に、そうやって書いておけば良かったな…。全く気が回りませんでした。
出演者への質問と答えが載った、A41枚のリーフレットが100円で売られていたので買いました。
“23rd"と書かれていますが、次のウェブページでは、"24th Season"となっています。それとも、"2013 23rd"となっているので、1990年から数えて、23年周年と言う意味なのか?! 最初が"1st Season"なので、多分、そうなのでしょう。
パンフレットは、次のシーズンにならないと買えないのだそうです。舞台写真付きで、販売されるとの事。パンフレットを買うだけだったら、入場券は買わなくて良いそうです。また、通信販売もしているそうです。係員に確認しました。
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