クライアント版MacをVPNサーバにする[追記・訂正あり]
iPad/iPod touchには、VPNでのアクセス機能が付いていています。何とか、VPNを使って、家庭内LANにアクセスできない物かと考えていました。VPNを使って家庭内LANにアクセスする為には、そのLANにVPNサーバが必要です。PPTPサーバとかL2TPサーバです。
LinuxやMac OS X Server、あるいはVPNサーバ機能付きのルータが必要です。LinuxにOpenswanとかをインストールすれば使えるはずですが、めんどい…。
[amazonjs asin="B011B3MWG4" locale="JP"]色々調べていたら、クライアント版のMac OS Xでも、簡単にVPNサーバとして稼働させる事ができる事がわかりました。その為のソフトは、次の物です。
ホームページには、フリーウェアと書かれていますが、起動の度に寄付(Donate)を求められます。最初の起動しか、許されていないのかな…。
このソフトの解説によると、Mac OS Xには、すでにVPNに必要なソフトは入っているそうです。また、このソフトは、小規模接続用です。エンタープライズ向けではありません。
私は、OS X 10.7.2で試しました。大まかな設定の手順は、次の通りです。
- ルータ設定(ポート解放)
- VPN Activatorインストール
- VPN Activator設定
- VPN Activatorスタート
- iPad/iPod touch設定
- 接続
それでは、順に追って説明して行きます。
1. ルータ設定
ルータ設定が、一番難しいです。これは、ルータの説明書を見てご自分でお調べ下さい。これが正しくできないと、接続できません。この設定ができなければ、その先へ進んでも無駄となります。
また、ルータの設定は、慎重にお願いします。設定を間違うと、インターネットにつながらなくなったり、セキュリティに弱くなったりしてしみます。次の設定が必要です。
- VPNパススルー設定
- ポート解放
- DDNS設定
ポート解放については、私が見つけた資料だと、次の様になっていました。
【L2TP/IPSec】
IPプロトコル番号 | 50,51 |
---|---|
UDPポート番号 | 500,4500 |
【PPTP】
IPプロトコル番号 | 47 |
---|---|
TCPポート番号 | 1723 |
DynamicDNS(DDNS)設定等も必要となります。DDNSを使えない場合、WAN側IPアドレスを控えておく必要があります。
ルータの設定については、次のサイトが参考になると思います。ありがとうございます。
プロバイダによっては、ポート解放ができない場合がある様なので、確認が必要です。
グローバルアドレスが割り当てられている必要があります。使用しているIPアドレスについては、「確認くん」などでご確認下さい。
2. VPN Activatorインストール
まずは、VPN Activatorのダウンロードとインストールです。
ZIPファイルを展開すると、"VPN Activator.app"が取り出せるので、/Applicationsにコピーします。
3. VPN Activator設定
VPN Activator.appを起動し、次の設定をします。
- 接続させるクライアント(iPad/iPod touch)に割り付けるIPアドレス
- DNSサーバ
- VPN接続用ID
- L2TP用パスワード
- 割り付けるIPアドレスは、家庭内LANと同じセグメントを指定します。これが正しくないと、家庭内LANに接続できません。
- DNSサーバは、そのまま変えなくて大丈夫です。
- VPN接続用IDは、任意の名前とパスワードを設定します。Mac OS Xに実在しないユーザ名で大丈夫です。
- L2TP用パスワードも任意の文字列を設定します。
4. VPN Activatorスタート
次に、VPN Activatorのスライドスイッチを、OFFからONに切り替えます。
管理者パスワードを聞かれると思います。これで、Mac側の準備ができました。
5. iPad/iPod touch設定
[設定]→[一般]→[ネットワーク]→[VPN]で設定します。
[VPN構成を追加…]で、必要な情報を入力します。
「説明」は、わかり易い名前を付けて下さい。
「サーバ」は、ルータの名前です。DDNSを設定している場合は、そのホスト名(ドメイン名)になります。DDNSを設定していない場合、ルータのWAN側アドレス(グローバルアドレス)を入力します。
WAN側アドレスは、「確認くん」等で確認して下さい。
「アカウント」、「パスワード」、「シークレット」は、VPN Activatorで設定した内容を入力します。
VPN ActivatorとiPod touchとの設定の対応は、次の通りです。
なお、iOS 5.0.1を使っています。
6. 接続
まず、iPad/iPod touchが、家庭内LAN(WiFi)では無く、モバイルルータにつながっている事を確認しておきます。そうしないと、意味がありませんから。
VPNの設定が終了したら、[VPN]のスライドスイッチを[オン]にします。
すると、接続に入ります。
これまでの設定が正しければ、通信が開始されます。「接続しています…」から「認証中…」に変わり、「接続中」になります。
VPN接続中は、左上に[VPN]と表示されます。
ここまで来たら、VNCによる画面共有、ネットワークアクセス等ができる様になります。
私は、家庭内LANのWebDAVサーバにアクセスできる事、およびVNCで接続できる事を確認しました。
- LeopardをWebDAVサーバにする(Digest認証対応)[訂正あり]: プラスα空間
- iPod touch/iPadからWebDAVでMac(Leopard)にアクセスする: プラスα空間
- LANDISK HomeをWebDAVサーバ(Digest認証対応)にする: プラスα空間
ルータの設定は、かなり苦労しました。これができてしまうと、あっさりつながります。感動的です。
次のページを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
(追記 2012-02-11 00:04)
最初、LinuxにOpenVPNを入れれば良いと書いていましたが、間違いでした。記事を訂正しておきました。
OpenVPNは標準のiOSではサポートされていないVPN方式です。iOSでも、サポートして欲しいな…。
iOSでVPN接続する為には、LinuxではOpenswanと言うソフトウェアが用意されている様です。
ディスカッション
私も年末帰国するので調べてみたところターミナルから2種類ファイル作るだけでできました。
http://stormrook.com/2010/05/31/setting-up-a-vpn-server-on-osx/#more-39
ポート開放の情報は助かりました。
takoyakiさんへ、いつもコメントありがとうございます。
リンクの紹介ありがとうございます。
OS Xにも、racoonが入っているのですね。
FreeBSDをVPNサーバーにするときに、racoonの設定をします。
このリンク先での方法は、racoonは使う物の、設定自体は楽そうです。
日本語で書かれている資料を探すよりも、英語で書かれている資料を探した方が、より良い物が見つかる事が多いです。読み易く、手順が解説されています。
そう言う訳で、最近はなるべく英語で技術文献を探す様にしています。
年末に帰国ですか! お気をつけて。