舞台「オンディーヌを求めて(東京公演)」を観てきました(ネタバレ感想編)
本日も、ラフォーレミュージアム六本木で、舞台「オンディーヌを求めて」を観てきました。富良野GROUP×三倉茉奈・三倉佳奈です。大千秋楽で、全公演が終了していますので、思いっきりネタバレできます。
「オンディーヌを求めて」は、ジロドゥと言う劇作家の書いた「オンディーヌ」と言う舞台の主役「オンディーヌ」のオーディションに賭ける、二人の女優の争いです。
終わり方が3パターンあります。久米島愛が受かるか、谷村めぐみ(メグ)が受かるか、二人とも落ちるか。終わり方は、クライマックスの時まで、スタッフも、演じている茉奈さんも佳奈さんも知らされていないそうです。
あらすじは、次の通りです。物語の進行とは違いますが、時系列的にまとめてみました。3パターンある終わり方の話も、ミックスした内容にしています。また、私の補間も入っているので、実際のストーリーとは違います。
『オンディーヌ』の主役を決めるオーディションの最終選考会。最終選考会には、久米島愛、谷村めぐみ(メグ)、そして番号32番のもう一人の3人が残っていました。愛とメグは、劇団に、17歳の時に17期で入った、同期生同士です。愛は大阪から、メグは岩手から出てきました。二人とも、地方から出てきたと言う事で、共同生活をしています。愛は、ひた向きに演技の道を究めようとしています。メグは、天性の輝きを活かして、ある舞台の主役を得ます。ところがメグは、批評家からバッシングを受けます。落ち込んでいるメグを励まそうと、『茄子の呪い揚げ』を調理する愛。メグを励ましているはずが、メグの本当の姿を指摘したばかりに、愛も、『茄子の呪い揚げ』の対象になってしまいました。仲たがいをしてしまったのです。そんな事があっても、同居を続ける二人。ところが、愛が出て行ってしまう、決定的な事件が起きてしまいました。愛が二人組の男に暴行を受け、傷ついてしまいます。そんな愛をよそに、今を楽しんでいるメグが帰ってきます。メグが、愛の恋人を奪っていた事も、愛にバレ、愛とメグの関係の破局は、決定的な物となってしまいました。結局、愛は家を出て行き、ニューヨークで、芸の道を究める決心をしたのでした。
ニューヨークで愛は、厳しい生活をしています。レッスンを受けつつ、オーディションで役を勝ち取り、舞台に立ちます。ところが、舞台に立つだけでは生活できず、生活の為にヌードモデルをする事もありました。あまりの貧しさから、廃棄食料を目当てにコンビニに行く事もありました。それを見かねた劇団の先生が、愛を食事に誘います。先生が見かねたのは、食事の事ではありませんでした。愛を、アルコール依存症から立ち直させる事だったのです。でも、他の劇団員は、そんな愛を認めませんでした。先生から目をかけられた愛を、徹底的に無視したのです。
ある時、愛は、メグが『オンディーヌ』のオーディションを受ける事を知り、愛もオーディションを受ける為に、日本に帰ってきました。愛とメグは、8年ぶりに再開します。二人とも27歳になっていました。最終オーディションには、愛とメグと32番の娘が残っていました。最終的にオンディーヌ役が誰になるかは、携帯電話で知らされる事になっていました。
オーディションが終わって、二人はメグの家にやってきました。結果をメグの家で待ちます。その間、上記の愛に起こっていた事、それとメグの8年間の様子が知らされます。
メグは、数々の賞を受賞していましたが、演技は認められていません。見た目と話題性だけで、芸能界で生活しています。男性関係もうまく行きません。メグは、そんな生活に限界を感じていて、今回の『オンディーヌ』のオーディションを受ける決意をしたのでした。
そんな二人の間に、オーディションの結果が知らされました。
こんな感じです。
東京公演初回は、メグが受かるパターンでした。愛の携帯電話に落選のお知らせが来て、メグの携帯電話に合格の電話が来ました。これは私の推測ですが、メグが受かったのは、やはり日本での知名度、それと、オーディションで着た衣装のインパクトだったのだと思います。有名な人を主役に使うと言う、日本の芸能界の安易な流れを批評したのでしょうか?
メグは受かって嬉しかった物の、何年かしたら辞めちゃうみたいな発言をして、愛に切れられたと思います
2回目は、愛が受かるパターンでした。愛の携帯電話に当選のお知らせが来ます。メグが泣き崩れて終わりました。かなりあっさりした終わり方だったように記憶しています。私なりの理由の推測ですが、やはり、舞台は演技の実力が物を言うと、主張したかったのでしょうか?
千秋楽は、愛もメグも落選して、32番の娘が受かると言うパターンでした。愛は「予想通りだったでしょう。あの子は、私たちの持っていない○○を持っている。」みたいな事を言っていたと思います。その言葉の内容に感動したのですが、忘れてしまいました。私の記憶力、悪いな…。私なりの理由の推測ですが、32番の娘のこれからの可能性にかけて、選考メンバーが選んだのでしょうね。
私は、愛もメグも落選するパターンが一番面白かったし、好きでした。
「オンディーヌを求めて」は、面白かったのか? 私は、作品の世界に入って行けませんでした。集中して観てはいましたけれど、話の内容はわかりましたけれど、作品世界に付いて行けなかったです。私の度量が狭いのでしょうね、きっと。
メグが死のうとした事を脚本に入っていた事も、気に入らなかったです。自殺を脚本の中に入れて、話を盛り上げようとするのは、好きではありません。
感動したのは、愛もメグも落選した時のパターンの、愛の台詞だけだったな…。でも、その内容すら、覚えていません。必死に思い出そうとしているのですけれど…。
こんな批評を書くと、倉本さんは怒るんだろうな…。何も生み出していないのに、何を言うのかと…。
でも、そんな気持ちです。無視されるよりは、良いですよね?
昔、倉本聰さん脚本の、舞台「悲別」を観た時は、感動で涙が止まらなかったな。そんな感動を期待していたのが、失敗だったのかも。
三倉茉奈さんと、三倉佳奈さんの演技は、最高でした。
舞台役者に怪我をさせない為の取り組み、平手で打つ振りをして、打たれる方が演技すると言う話、首を絞めている振りをして、実は逆の動きをしていると言う話が面白かったです。へぇ〜と言う感じでした。
初回は下手側2列目、2回目は中央最後列、千秋楽は上手側3列目で観劇しました。観る角度が変わって、いろいろ細かい所まで観る事ができました。
やはり、舞台は3回以上観ないと、わかってきませんね。
2列目、3列目で観る事ができたのは、なかっちょさんのおかげでした。ありがとうございます。
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ディスカッション
もう見ました、面白いですね
ガンダム 画像さんへ、コメントありがとうございます。
3パターンの観劇と長文のブログまとめていただき、ありがとうございました。
短期間に3つ続けて観劇すると・・・充実感はもちろんあるだろうけど、物理的にきつかったのではなかったかな、と拝察します。仕事の合間になりますもんね。
マナカナちゃんたちやスタッフの皆さん、無事に千秋楽を迎えられてよかったです。
でも急遽観劇することになっても、席があってよかったです。
ブログにまとめていただき、本当に感謝です!
こんにちは、またお邪魔しています。
「オンディーヌを求めて」公演前から一筋縄では行かない内容が自分なりに予測されていましたので、観劇前より可能な限り「オンディーヌ」と「ウンディーネ」は読んだのですが・・・
フライング紛いに遠征した富良野公演以降、様々な伏線が浮上、ジロドゥ、フーケはおろか、加藤道夫、チェーホフ、ミラーの書物に「マタイ受難曲」に関わる音楽・・・半ば強迫観念状態になり、計6回の自分の鑑賞はちと未消化状態だったかも知れません。とは言えその分、最後の東京公演では、自分なりの演劇鑑賞は出来たのかな、と充分満足しています。
倉本さんからは、若き日の理想と疑問、茉奈さんと佳奈さんへのメッセージを垣間見た想いがします。茉奈さん演じる久米島愛の鋭い目線と声、公演の都度の発展、佳奈さん演じる谷村めぐみの表層的な軽さと癒える事の無い魂、毎回の安定した演技・・・御二人の演技からは役者としての大いなる飛躍とさらなる可能性の両面が伺えました。
今回の劇、再演も期待したいのですが、内容を考えるとワザとしない風にも思えます(あくまで今回は通過点として)。御二人には今回の経験をバネに、それこそ「オンディーヌ」や古典演劇に挑戦してもらいたいものです。尤もその際は自分の予習量も増えてえらいことになること必至ですが・・・。
茉奈さんと佳奈さんのファンやってると、勉強することが多いですわ[E:coldsweats01]
なつうめさんへ、いつもコメントありがとうございます。
あらすじを書いていたら、何だか、長くなってしまいました。
確かに、3パターン連続観劇は辛かったです。メインのストーリーは、3回観られるのですが、結末は1回ずつしか観られないので、覚えるのが大変です。
今回、土曜日の深夜に「今夜も生でさだまさし」が入っていました。「生さだ」は、やはり生で見たいので、夜更かししました。これも、きつかった理由の一つです。
実は、2週間ほど前に、観劇の可能性が出てきて、チケットを買ってありました。でも、最後列か後ろから2列目で、観辛い席でした。当日来られなかった人の席に座らせてもらって助かりました。
他の方のブログを読むと、結末について、もっと詳しく書かれた物があります。近いうちに、紹介する予定です。
ほら貝さんへ、コメントありがとうございます。
「オカンの嫁入り」の時は、原作を読んで予習したのですが、今回はできなかったです。
チケットは2週間前に入手したのですが、本当に行けるかどうか、直前までわかりませんでした。資料を入手する時間も含め、準備できませんでした。
3回観ましたけれど、あまり、舞台途中での伏線は感じなかったです。そのまま、受け入れる感じでした。
そのまま受け入れた物の、倉本さんのメッセージは、あまり伝わってきませんでした。
感じる能力が低いのかな…。
茉奈さんと佳奈さんの演技は良かったです。ものすごく上達していました。