ラジオドラマ「お乳の神様」聴きました
三倉茉奈さんのラジオドラマ、次の記事で知りました。
とても楽しみにしており、先ほど聴き終わりました。
- お乳の神様 | NHK オーディオドラマ
- 原作: 岩﨑敬子
- 音楽: 長生淳
涙が止まりませんでした。
あらすじ
孫娘のあかりの前で、送り火と一緒に古いハガキを燃やす妙子。そのハガキは、妙子の義弟、あかりの叔父の龍二から、出征中に届いたハガキでした。その思い出を、妙子があかりに伝えるのでした。最後のハガキは、あかりが持ち続ける事にしました。
物語
感想を書こうとしてますが、やはり、話の内容を整理しないと、先へ進めません。以下、詳細まとめになります。結末が書かれていますので、まだ聞いていない人は、聞いてからお読みください。
出征していた龍二は、結局戦死してしまいます。龍二はすぐに戦争に駆り出され、唯一の楽しみが、残っている家族との手紙のやり取りでした。妙子は龍二の出征中に、兄の忠雄に嫁ぎます。龍二には会った事がなく、額に入れられた写真でしか知りません。
妙子は、気の進まないまま、忠雄に頼まれるままに龍二へ返事を書きます。内容は、女学生が書くようなたわいのないものでした。龍二が喜んでいるのが嬉しくなった妙子は、次第に恋人の様な気分になって続けます。ところが、妙子が妊娠し、忠雄にからかわれた事をきっかけに、龍二へ返事を書けなくなってしまいます。その後は、忠雄から頼まれても、妙子は頑なに返事を書きません。息子の忠勝が生まれた後も。
ある日、龍二が戦死したという連絡が届きました。泣き続ける妙子の義母。後悔の念にさいなまれる妙子。そんな中、忠勝がお腹を空かせて泣き出します。ですが、妙子がまともにご飯を食べていないため、お乳が出ません。それを見た義母が、仏壇の裏に、龍二の好物として取っておいた隠していた「かき餅」を取り出します。ですが、お線香の臭いが染み付いていて、食べられた物ではありません。龍二が忠勝へ贈る最初で最期のプレゼントとして、妙子が口に流し込みます。
その直後に空襲です。妙子は忠勝を抱えたまま、忠雄と義母と離れ離れになってしまいます。
空襲が終わった後、忠勝がお腹を空かせて泣き出します。無理と分かっていて、妙子が忠勝にお乳を含ませると、なんとお乳が張ってきて出る様になったのです。忠勝は、軍神ではなく、お乳を出すための「お乳の神様」になった様でした。
この話を聞いたあかりは、最後のハガキを持っておく事にしました。妙子が死んでしまえば、龍二の事を知る人が誰もいなくなり、本当に死んでしまうと妙子は考えていました。あかりが龍二の事を覚えておいてくれるおかげで、龍二は甥っ子の娘の心の中で生き続ける事が出来る様になりました。
感想
ラジオを聴きながらメモを取っていました。すっかり感情移入して、涙が止まりませんでした。妙子の気持ちも、龍二の気持ちも、忠雄の気持ちも、義母の気持ちもわかります。
未成熟な精神のまま、龍二の想いを受け止められきれなかった妙子。戦闘の厳しさを紛らわせる為に手紙を出し続けた龍二。戦局が悪化するに連れ募る不安。龍二の戦死の報を受け混乱する家族。空襲の混乱、そして再開した時の喜び。胸が張り裂けそうです。
戦争が終わった後も、龍二に対する後悔は妙子から消えなかったでしょう。それでも、その想いを孫娘のあかりに伝える事ができました。
ラジオドラマって、良いですね。話を聞きながら、頭の中にイメージが広がっていきます。本を読んでも、イメージは広がりますが、ラジオドラマの場合、役者さんがあらかじめ登場人物をキャラクター付けてくださっているので、より簡単にイメージする事ができます。
音楽や効果音も素晴らしかったです。イメージを広げるのを手伝ってくれます。
三倉茉奈さんは、若い時の妙子を演じています。何もわからず嫁いで来た時から、龍二と無邪気に文通する様子、忠勝を妊娠して突然手紙が書けなくなる様子、龍二を死を知って後悔する様子、空襲の中生き延びる様子、忠勝を護り切った後の様子と演じきっていました。
あかりは25歳にしては、ちょっと幼かったです。でも、平和な世の中で何も知らないまま生きてきた通りのキャラクターなのかもしれません。番組終盤では、ちょっと大人っぽくなった気がします。最初、あかりも三倉茉奈が演じているのだと勘違いしてしまいました。耳が悪くなったかな。
戦争は、庶民には悲しみと苦しさしか残しません。
メモ
以下、番組を聴きながら取ったメモです。
おばあちゃん、あかり(25)
昔のハガキを燃やすおばあちゃん
おじいさんの弟(22で亡くなった)終活のために、送り火でハガキを燃やしている。
ハガキ。質が悪い。軍事郵便。りゅうじ拝
おいのただかつの娘
おじいちゃんの手紙は燃やした。
おばあちゃんが死ねば、だれもりゅうじを知っている人はいなくなる。死ぬ。
開戦の時、海ゆかば。その後、玉砕の歌。
戦争中。物静か。慎ましさ。
勇ましいのは、最初の半年。
1000人針。
英霊の家。
神戸、造船所。勤労奉仕。若い男は少ない。
乙種合格なので、戦争に行く可能性が少ないという事で、縁談まさきただお30に嫁いだ。22で。(たえこが、まなにかわる)
妙子、嫁ぎ先。りゅうじ。満州。たえこより、1つ下。
りゅうじが戻りますように。りゅうじからの手紙に頬ずりする義母。
りゅうじが見初められてすぐ結婚。甲種合格だったので、すぐに戦地に。ハガキが届いた。りゅうじの手紙を読んでもらう。
たえこが、りゅうじへ返事を書く。
たえこが、読み聞かせる。
まるで、女学生の様な手紙。
りゅうじ喜ぶ。姑も喜ぶ。
返事が届く。
母上、兄上、姉上さま。つじもとから返事がない。許嫁。帰ってこないので、婚約解消。
どうやって、返事を書いて良いかわからない。女学校風手紙にした。
5尺。姉上に、毎日顔を拭いてもらっている。
スミレが一輪咲いていた。
りゅうじは覚えているはず。押し花にして同封した。井戸端のスミレ、知っていた。押し花、色も匂いも残っていた。
匂いが残っていたとは思っていないけど、匂いが届いたはず。姉上様となっていた。
母上様、兄上様と、付け足して読んでいた。負けるのかしら…。
シェパード。軍用犬として徴用。戦地であったら、戦友。
女学生の慰問の様に、手紙シェパード。食われたと思う。
拝啓、姉上様。いやらしい笑い方。冗談だよ。
もう、書きません。
妙子、手紙のやり取りで、ウキウキしていた。
たえこ、返事、書かない。
喜ばせる手紙、書けない。無邪気に書けない。
かけない理由は、もう一つ。妊娠に気がついた。
妊娠した事、かけない。素知らぬ顔もできない。つわりの事、書いた。りゅうじから返信。喜びで踊っている。思いもよらない。
妙子、新聞。押し花。失敗。カビ。
妊娠して喜んでいるのを見て、憤慨。
写真を拭くのも、嫌になってきた。赤ちゃんが生まれる。男児。後継。ただかつ。
りゅうじ、喜ぶ。ただかつをよろしく。
まさきの家の子? 私の子。
妙子は、ただかつしか目に入らない。りゅうじからの手紙が来ない事に気がつかないふりをしていた。
配給をもらいに行く。帰ってきた。
義母から、りゅうじが死んだ事を告げられる。戦士広報が来た。
泣き崩れる義母。妙子に、りゅうじのハガキがフラッシュバック。
後悔にくれる妙子。愚かな女学生だった。義母、泣き止まない。
レイテ島で戦死。
ただかつに授乳しようとするが、出ない。
かき餅。りゅうじに食べさせるつもり。
線香の臭いが付いている。
妙子、焼いて食べる。
りゅうじからただかつに与える、最初で最期の食べ物。
砕いてお湯で飲み込んだ。
ただかつをお願いします。
お乳を与えようとした時、空襲警報。
夫とは離れ離れ。
ただかつは大丈夫だった。どこも傷ついていない。
松林の溝の中。
ただかつなく。お乳欲しい。
ただかつにお乳を咥えさせる。
お乳が出てきた。たーちゃん。
おじさんのお餅のおかげ。戻ってきた所は焼き野原。
焼け焦げた物をひっくり返す。
それは、焼けた人をひっくり返して、身内を探していた。真っ黒な女性が、黒い赤ん坊をかけて、お乳をねだる。
お乳を上げるつもりはなかった。
赤ちゃんは、くわえたが、お乳を飲み込む事は出来なかった。
一口だけ、飲めた。死んだ。末期のお乳。
もしかしたら、立場が逆だったかもしれない。夫が、駆け寄ってくる。
生きていた。無事だった。
家はダメだった。かあさんは無事だった。
神戸が全部焼けた。
ただかつ、生きている。ありがとう。
妙子、ただかつを守ってくれて、ありがとう。
夫の愛情を実感した。造船所、製鉄所も焼けた。もう、爆弾は落とされない。
他所で言うなよ。絶対。
ポケットに、りゅうじの手紙。拝啓、母上様、兄上様、姉上様、
母上の目はどうですか?
スミレの押し花。懐かしんでいたが、お守りの中に入れる。
死ぬと覚悟した。しまいこむ。
後悔の念にさいなまれる妙子。
妙子は妙子自身を許せない。
死んでいく人に気持ちがわからなかった。
取り返しがつかない。ただかつ泣く。授乳。お乳が出ている。
りゅうじのお餅を食べてから出るようになった。
戦死して、お乳の神様。軍神でなくて。弾丸? 船? 餓死?
また、フラッシュバック。義母が亡くなった時に、りゅうじのハガキを一緒に燃やした。
りゅうじの手紙も、最後の一枚。
あかりが持っている。
ただかつを護るためなら、恐れる物はない。
みなさまの幸せをお祈りしています。誰かを愛さずには死ねなかった。
愛の物語。あかり、ハガキを持っている。
ただかつの娘が、りゅうじを覚えていてくれる。まさきたえこ、しょうじてるえ
わかいたえこ、三倉茉奈
りゅうじ、じょうどうだいち
ただお、きうちよしかず
かつこ、みはらやや
あかり、うちやまあき
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