映画「Start Line」を観てきました
今村彩子監督トークショー
映画の後、今村監督のトーク(質問コーナー)がありました。メモしてきた内容をまとめます。例によって、汚い字で殴り書きなので、適当に補完しています。
写真は、K’s cinemaホワイエに作られた、Start Lineコーナーです。旅で使われたジャーニーさんの写真も展示されていました。
なお、トークは、映画館ホール内で行われました。
Q1. 伴走者の堀田さんとはどこで知り合ったのですか?
映画鑑賞会で仲良くなりました。自転車に乗っているということで、映画にも出てくる堀田さんの黄色いクロスバイクに乗せてもらいました。私の家の周りは坂道が多くて大変なのですが、クロスバイクのギヤを変えるとスイスイ走れるのが楽しくて、私もクロスバイクを買いました。10km, 20kmと段々と走る距離を延ばしました。「いつかは日本一周をしたいねぇ〜」と堀田さんと話していたら「応援します」と言われました。そんな成り行きで、伴走者に決まりました。
Q2. 走る前は、どういう映画にするつもりでしたか?
何かアクシデントがあって、それを解決したり、走る先の地元の優しい人と触れ合う、心優しい映画にしたかったです。実際は映画の通りです。映画を撮ったりする前に、まず猛暑の中を毎日70kmを走ることが大変です。信号を見ないとか、危ないことをしてたりして、旅の初日から予定が狂いました。
Q3. 今村さんをさらけ出す映像がたくさん出てきますが、予定していたのですか?
自分をさらけ出すつもりはなかったです。ビデオを撮られていることは知っていましたが、編集するのは私なので、映像を撮られても使わなければ良いと思っていました。そう言う訳で、感情丸出しでした。
Q4. 感情を出している部分を映画にするつもりはなかったと?
はい、使うつもりはありませんでした。恥ずかしい所が多いですし。完走したことは喜びにはなりましたけれど、結局自分は何もできなかったと思いました。宗谷岬には、何も答えがありませんでした。答えは、自分で見つける物だと知りました。最終日のライダーズハウスが第一歩でした。
でも、名古屋に帰って、何もできなかったと落ち込みました。堀田さんに話したら「できなかったことを映画にしたらどうか?」と言われました。出会った人との事だけを映画にする事も可能だったのですが、そうではなく、ライダーズハウスでの事を活かすように編集を進めました。
Q5. テーマになっています、「コミュニケーション」とは(今村さんにとって)どういう物でしたか?
聞こえる人の中に入る事は、小学校の時の経験がトラウマになっていて、イヤでした。それが逆に、聞こえる人への怒りになって、映画を作ってきました。この時は、自分を変えようという発想がなかったです。でも、堀田さんに「コミュニケーションが下手なだけ」と言われて気がつきました。堀田さんは「アメリカやフランスなど、言葉の通じない所に行っていて、言葉が通じなくてもコミュニケーションを出来る力を持っています。その経験から、「聞こえなくても、コミュニケーションがうまくなれば良い」と言ってくれました。走っている時は、頭ではわかっていても、楽しい経験にはできませんでした。
Q6. 北海道でウィルに出会って、どう思いましたか?
カッコイイと思いました(笑)。聞こえない仲間ができたと思って、嬉しかったです。一緒に宗谷岬を目指すという事にも。最初は嬉しかったのですが、ウィルのコミュニケーションの上手さの現実を見せられて、段々と複雑な気持ちになっていきました。葛藤でした。ウィルに出会って、堀田さんの言っていた事が本当だとわかりました。コミュニケーションが上手くなるには、自分の努力だとわかりました。
Q7. その後の変化はいかがでしたか?
映画はコミュニケーションをテーマで決めていたのですが、日本縦断のすぐ後は、疲れていて、それどころではなかったです。今は、東京にも良く来るようになって、ゲストハウスも利用するようになりました。ゲストハウス先でチラシを渡したら、宣伝してもらえたりもしました。
コミュニケーションは、話したい時にその事を話す事なんですね。旅の時は順番を間違えていました。映画のテーマのためにコミュニケーションをする物だと思ってました。
今は、居酒屋でも話す事ができるようになりました。それでもまだ、聞こえる人とのコミュニケーションは苦手ですけれど、安心できるようになりました。
Q8. 堀田さんは、できた映画をどう思っていましたか?
堀田さんに観てもらうのが怖かったです。「他の事はできないけど、映画は良く出来ているな」と言われました。
あ、誤解の無いように言っておきますけど、堀田さんは映画の中で怒鳴ったり、お酒ばかり呑んでいたり、タバコを吸ったりしていますけれど、普段は穏やかな人です(笑)。
ありがとうございました
(司会)東京は、ここK’s cinemaで、9月30日までの上映です。知人の方に紹介をお願いできたらと思います。パンフレットをご購入された方には、今村監督がサインをします。応援してくださる方のために、チラシをお渡ししています。
今村さんが使っているサイクルコンピューターは、次の物だと思います。
[amazonjs asin="B0055QU0MC" locale="JP"]あ〜、本当に良い映画だったなぁ。私は、「Start Line」の応援団もやっています。もし、観に行きたい場合は、私にお知らせください。特別鑑賞券(1,300円)を持っています。もう一回観に行っても良いと思っているので、ご都合が合えば、一緒に行けますよ。
映画「Start Line」応援団
ディスカッション
私もコミュニケーションについては悩んでおります。(主に職場)
私もコミュニケーションについての努力や、人と交わる勇気が足りないのかもしれません。
一つ分からないのは、坂道でも快適な自転車を手に入れて、じゃあ旅でもしてみようかな、までは分かるのですが、なぜそれを映画にしようと思ったのでしょうか?
単なるひらめきだったのでしょうか。
チハルさんへ、いつもコメントありがとうございます。
コミュニケーションは難しいです。永遠のテーマです。
今村監督は、前からコミュニケーションをテーマにした映画は撮りたかったそうで、母と祖父が亡くなった失意から立ち上がるために自転車での日本縦断を決意し、縦断しながらコミュニケーションを取ることを目標にしていたので、それを映画にすれば良いと考えたようです。